糖尿病患者へのインスリン自己注射の指導方法を解説

糖尿病患者へのインスリン自己注射の指導方法を解説

看護師が糖尿病患者さんのインスリン自己注射指導を実施する場面は、糖尿病専門の入院病棟だけではありません。

近年、若い患者さん、比較的理解良好な患者さんには外来やクリニックでの指導が行われています。集中的な指導、介入が必要なインスリン導入時期の看護は、ただ「注射の打ち方」を覚えてもらえばいい、という訳にはいきません。

糖尿病患者さんの恐怖感や不安を受け止め、安全な糖尿病管理を継続していけるためには、インスリン自己注射導入時の看護師の指導が決め手となります。

糖尿病患者さんのインスリン自己注射指導「こうすれば上手くいく」を解説していきます。

インスリン自己注射、自分で注射をするのが怖い、と指導が進まない

インスリン自己注射を指導している看護師のみなさん、インスリンの針を自分に刺してみたことはありますか?

自己注射用練習用のキットを使って刺してみたことはあっても、自分の体に本物の針を刺してみたという人はほとんどいませんね。

26Gよりも細い針なので、痛みはあまり感じませんが「自分に向かって針を向ける」行為は、患者さんにとってかなりの恐怖感があります。若い患者さんで「怖い」という感情を表現しない場合でも、かなりの割合で恐怖感を抱えています。

最初は「自分に針を刺せた」ことを最大限評価し、労って下さい。恐怖感を十分に払拭することが、インスリン自己注射指導のポイントです。

インスリン自己注射、患者さんの視力、聴力、手先の動きに注目して

インスリン自己注射の指導用パンフレット、指導用クリティカルパス、各製薬会社から出ている指導用DVD、指導用チェックリスト、看護師は様々な教材を用いて指導を行います。

製薬会社から出されているパンフレットやDVDはとても分かりやすく、注意するポイントが整理されていますね。

看護師は、患者さんの視力、聴力、手先の動き(手指の巧緻性)をよく観察し、糖尿病患者さんに理解しやすい教材を選択する必要があります。

糖尿病患者さんは、視力低下をきたしていることが多く、既存のパンフレットでは「文字が読みにくい」こともあります。

また、高齢患者さんは、DVDを見てもらっても「早口でよく聞き取れない」。糖尿病合併症による神経障害発症例では、「インスリンの針につているカバーが取りにくい」「個包装消毒綿花の包装が開けられない」といった困りごとも発生します。

看護師は、患者さんの個別性に注目して、指導教材を選択したり、手技が上手くいかない部分を見極める必要があります。

インスリン自己注射、食事前、空腹時の自己注射指導は極力避ける

入院患者さんのインスリン自己注射指導では、食前注射のインスリン製剤の場合、患者さんの食事時間に合わせて行われることが多いでしょう。

例えば、昼食が12時に配膳だと仮定しましょう。

看護師は、11時半ごろに患者さんを訪れ、チェックリストに沿って注射部位の選択、インスリンに針を付ける、インスリンの単位を合わせる、消毒、穿刺、インスリン注入、後かたずけと針の処理、という一連の流れがマスターできているか確認し、サポートします。

手技が不安定であったり、時間がかかる場合、清潔操作が曖昧だった場合、看護師はその場で指導を実践し、次回の課題を導き出すでしょう。そうこうしていると、食事が配膳されてきてしまいます。

空腹で、配られた食事を前にして、インスリン自己注射の出来ていない点を看護師から指導されて聞く気になるでしょうか?実は、このとき患者さんはかなり集中職散漫になっています。イライラしている時もあります。

看護師は、自己注射指導にかかる時間を推測して、時間的な余裕をもって訪室すること、食事を前にしてダラダラと指導を続けないことがポイントです。

インスリン自己注射、家族にも患者さんが頑張っていることを知ってもらう

インスリン自己注射を導入される患者さんの中には、食事療法が徹底できない、血糖降下薬を飲み忘れる、家族に隠れて間食する、病院に行かない、等の理由で糖尿病が悪化したケースもかなりあります。

奥さんが、糖尿病のサポートのため食事療法を実践して頑張っていたのに、夫が暴飲暴食をして糖尿病を悪化させたりするケースは多いものです。

熱心にサポートしてくれる家族もいますが、なかには「インスリン注射は自業自得」と突き放した考えに至っている場合も少なくありません。

いかなる事情でインスリン自己注射になったケースでも、看護師は糖尿病患者さんを労い、出来たことを評価します。と同時に、家族にも患者さんが努力していることを伝えてあげる必要があります。

インスリン自己注射が開始されたとしても、糖尿病の食事療法や運動療法、服薬管理が必要なくなるわけではなく、継続したサポートが不可欠なのです。

糖尿病患者さんに貼られた「ダメな人」というレッテルを少しでも払拭し、家族のサポートが受けられるように援助していきましょう。

まとめ

いかがでしたか?

糖尿病患者さんのインスリン自己注射指導、看護師ならではの視点で解説してみました。

針のつけ方、消毒のしかた、単位合わせなどの手技についての情報はあふれています。看護師として、患者さんがインスリン自己注射を受け入れ、継続できるためにどうしたらいいのかを考えてみました。

ぜひ参考にしてください。

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