看護師が自己血糖測定の指導で困っていることと指導のポイント

看護師が自己血糖測定の指導で困っていることと指導のポイント

糖尿病患者さんに、自宅での自己血糖測定を指導する担当者はほとんどが看護師です。

自己血糖測定は、適切な血糖値コントロールと安全なインスリン療法に欠かせません。看護師が行う自己血糖測定指導のポイントを解説していきます。看護師の皆さん、ぜひ参考にしてください。

自己血糖測定の指導で困ること「とにかく時間がない!」

最近は、入院中の自己血糖測定やインスリン自己注射の導入は、クリティカルパスによる入院日数に制限があり、限られた日数で効率よく実施しなくてはなりません。また、入院中の指導と同じくらい、外来での導入も多くなっています。

自己血糖測定は、食事前に行います。従って、自己血糖測定の指導は食事を配膳する前の時間に実施されます。食事前にこなさなくてはいけない仕事はたくさんあります。食前薬の配薬、自力座位保持が出来ない患者さんのギャッジアップとセッティング、注入食の開始、延食の確認など多忙です。

この忙しい業務の合間に、自己血糖測定の指導が行われるわけです。看護師には時間がありませんね。

自己血糖測定の指導で困ること「視力が悪い患者さんが多い」

糖尿病の患者さんは、糖尿病性網膜症を合併していたり、白内障などによって視力が悪い患者さんが多いのです。

血糖測定器のセンサー、穿刺針は大きいものではありません。視力の悪い患者さんに、細かい操作を覚えて頂くのは大変です。使った後の穿刺針の処理が上手くできない時もあります。時には消毒した部位と違う所を穿刺してしまうこともあります。

視力の悪い患者さんに細かい操作を覚えてもらうには、かなり根気が必要です。専用のルーペを使用し手元を見やすくしたり、分かりやすい説明資料を用いたりする工夫が必要です。

自己血糖測定の指導で困ること「必要性の説明が難しい」

自己血糖測定を継続するポイントは、患者さん自身に自己血糖測定の大切さを十分に理解していただくことが大切です。

なぜ、血糖値を測定して医師に報告しなければけないのか、血糖測定はどんな時に行えばいいのか、血糖測定を行うメリットはなにか、十分に理解して頂かなければ継続できません。血糖測定の方法(手技)だけを説明しても、継続しにくいのです。

看護師が患者さんに自己血糖測定の必要性を説明しますが、患者さんは「医者がやれと言ったからやるだけ」と、自己血糖測定の導入を納得していないこともあります。心理的な抵抗がある患者さんは、指導を受け入れにくいものです。

自己血糖測定の指導で困ること「針を刺すのが怖いという不安が強い」

自己血糖測定の穿刺針を刺す場所は、指先です。指先は毛細血管がたくさん通っているため、血糖の変化を迅速にとらえるが出来ます。

しかし、指先は痛点が多く、痛みに敏感な部位です。穿刺する時のチクッとする痛みは、徐々に慣れてくるとはいえ、自分で指先を刺すことは恐怖を伴います。

患者さんの「自分で針を刺すのが怖い」という感覚は、看護師が大丈夫と言ってもなかなか払拭することができません。恐怖のため自己血糖測定の手技がマスターできない患者さんもいるのです。

自己血糖測定の指導で困ること「家族にも指導が必要」

自己血糖測定はインスリン注射とセットで導入されることが多いです。低血糖の監視のためにも血糖測定は必要です。

適切な血糖コントロールのためには、患者さん本人だけでなく家族も指導が必要になります。家族への指導は、時に患者さん本人より難しいことがあります。自宅で血糖測定をすることが負担で、ストレスに感じる家族もいます。患者さんが自己血糖測定を正しく継続するためには家族の協力が欠かせません。

糖尿病患者さんの理解者として、治療の協力者として一緒に頑張って欲しい、という医療者の思いを十分に家族に伝えていくことが必要です。

看護師が自己血糖測定の指導をスムーズに行うために

看護師が自己血糖測定の指導をスムーズに行うためのポイントをまとめてみましょう。

  • 食前の指導に十分な時間を取れるよう、看護業務の調整を行う
  • 視力の悪い患者さん用の資料、ルーペなどの器具を活用する
  • 自己血糖測定の必要性が理解できているかを見極めてから指導を開始する
  • 穿刺針を刺す恐怖感を傾聴する、無理に指導をすすめない
  • 家族の協力が得られるように働きかける

患者さんには、自己血糖測定を行うメリットを中心に説明していくように心がけましょう。「血糖値を測らないと腎臓が悪くなって、いずれ透析になるかも」「失明の危険がある」「インスリンで低血糖になったら倒れる」という説明を一生懸命しても脅されていると感じ、やる気をなくしてしまう患者さんもいます。

まとめ

いかがでしたか。

看護師の業務は、バイタルサインの測定や状態観察、保清などのケア以外に、患者指導が占める割合が大きくなっています。糖尿病患者さんは増加傾向にあり、自己血糖測定とインスリン注射の指導数も多くなっています。

短期間の入院、外来でスムーズな指導が行えるようにポイントを押さえて指導しましょう。


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