看護現場で使われる7つの消毒薬とその正しい使い分け

医療現場では、様々な場面で消毒薬を使います。使う対象も、人体や器具、また床などの清掃用と様々です。

消毒薬を間違えると、効果が低い場合や、人体に害をなす場合もあります。主な消毒薬の種類や用途、注意点をチェックしておきましょう。

主な消毒薬の種類

医療現場で用いる主な消毒薬には、弱いものから以下のようなものがあります。効果的な濃度も併せて覚えておきたいですね。

逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)

普通の石けんとは逆の陽イオンの石けんです。石けんと併用すると、中和されて効果がなくなります。

細菌には有効ですが、真菌やウイルス一般には十分な効果が得られず、HBV(B型肝炎ウイルス)や芽胞には効きません。比較的弱い消毒薬です。

クロルヘキシジングルコン酸塩

毒性が弱く安全性が高い消毒薬です。ヒビテンという商品名の方を知っている人もいるかもしれませんね。傷や器具の消毒、軟膏の成分など幅広く使われます。

一方、消毒効果はあまり高くなく、逆性石けんと同様細菌の消毒として用いられます。適正濃度は0.1~0.5%です。

クレゾール

中程度の消毒効果を持ちます。従来は多くの医療機関で使われていましたが、人体への害が強いので、最近は結核菌や排せつ物などの消毒など限られた用途にのみ使用されています。

体内に入ると中毒症状を起こすので、人体には使いません。

ポビドンヨード

真菌やウイルス一般にも有効なヨウ素系消毒薬です。MRSAにも効果があります。塩素系よりも浸透性が高く殺菌力が強く、うがい薬など多くの用途に用いられます。ただし、金属に対する腐食作用があり、色も着いてしまうので、器具や床などの消毒には適しません。7.5~10%の濃度で使用します。

アルコール(消毒用エタノール)

手指の消毒などで用いられる、身近な消毒薬です。HBVにも有効です。ウイルス一般にも、完全ではありませんがある程度の効果があります。70~80%の濃度で最も効果を発揮します。

次亜塩素酸ナトリウム

塩素系の消毒薬です。私たちの身の回りでも、プールの消毒や漂白剤などで目にします。

ウイルス一般に用いることができますが、皮膚への刺激作用が強いので、手洗いなどには用いません。

金属に対しても腐食作用があるので、やむを得ない場合以外は、医療器具などには使わないようにします。0.5~1%の濃度で使用します。

グルタラール(グルタルアルデヒド)

非常に強い消毒薬で、芽胞を含めほとんどの病原体に効果を示します。毒性が強く皮膚障害を起こすため、人体には使えません。創部に使用する器具や内視鏡などの消毒に使います。2~3.5%の濃度で使用します。

※芽胞とは、細菌の構造体の一つで、生育環境が厳しい条件でも生存できます。ほとんどの消毒が無効で、100度の熱にも耐えます。

芽胞を死滅させるには高圧蒸気滅菌という特別な方法を用います。破傷風菌などの怖い菌が芽胞を形成する一方、納豆菌など私たちの生活に役立つものもあります。

例:嘔吐物の処理

ノロウイルスの罹患の疑いのある患者さんが、床に嘔吐したとします。水拭きだけでは、ウイルスが残り、空気感染の危険があります。

速やかに除去し、消毒が必要ですが、この場合どの消毒薬を使用すればよいでしょうか?

まず、ウイルスに有効である必要があります。逆性石けんやクロルヘキシジングルコン酸、アルコールやクレゾールでは十分にウイルスを除去できません。

また、ポビドンヨードはウイルスに有効ですが、床に色が着いてしまうので清掃には使えませんでしたね。グルタラールも、毒性が強いので床掃除で大量に使うのは避けたいところです。

以上のことから、次亜塩素酸ナトリウムが最も適しているということになります。適正な濃度(0.5~1%)に調節して使用します。

最後に

いかがでしたか?医療現場で用いられる主な消毒薬についてまとめてみました。

いずれも有効な病原体や使える範囲が限られているので、どのような場面でどの消毒薬を使うか、間違えずに覚えておきたいですね。


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