バイタルサインチェックの一つ「呼吸測定」でわかる病気まとめ

バイタルサインチェックの一つ「呼吸測定」でわかる病気まとめ

バイタルサインの詳しい記事をまとめました。こちらも参考に。
【保存版】知っていますか呼吸回数の正常値、バイタルサインは呼吸回数まで測定しよう

バイタルサインを確認するうえで、最初に測定するのは呼吸です。体への影響が少ない順に測定していくためです。

しかし、患者さんに緊張感を与えてしまうと呼吸も乱れ、測定に影響が出ます。どのように測定すればいいのか、呼吸の異常からわかる疾患などについてまとめてみました。

呼吸の測定方法

呼吸数を測定するには、胸の動きを数えます。成人の呼吸数は14~20回/分が標準の範囲です。だいたい3~4秒に1回というペースですね。加えて、深さやリズムも観察する必要があります。

呼吸を測定するうえで大切なのは、さりげなく測るということです。例えば「今から呼吸を測ります」などと言われてしまうと、緊張しませんか?意識して、普段より呼吸が浅くなったり長くなったりと変化してしまうこともあります。

酸素療法中の患者さんの場合、これらに加えてパルスオキシメータという器具を用いてSpO2という指標の計測をします。SpO2とは、経皮的動脈血酸素飽和度のことで、95%以上が正常、90%以下になると呼吸不全を示唆します。

呼吸の異常からわかる疾患

呼吸数や深さ、リズムに異常が見られたり、呼吸の仕方に不自然な部分があったりすると、特定の疾患が推測できることもあります。

呼吸数が25回/分以上と多くなる頻呼吸では、肺炎や発熱の可能性があります。呼吸数と呼吸の深さがともに増加する多呼吸の状態は、呼吸窮迫症候群や肺血栓栓塞症という病気が原因になっている場合があります。

最近よく聞かれるようになった睡眠時無呼吸症候群では、安静呼吸位で呼吸が一時的に停止する無呼吸の状態が繰り返され、熟睡感の欠如や起床時の頭痛など様々な症状を引き起こします。

リズムの異常では、無呼吸→過呼吸→減呼吸→無呼吸と周期的に変化するチェーン・ストークス呼吸が代表的です。心不全、脳出血、脳腫瘍、脳ヘルニアなどによって起こります。

呼吸中枢である両側大脳皮質下や間脳に障害があるとこのような呼吸になります。同じ呼吸中枢でも、延髄に障害が起こると、ビオ―呼吸と呼ばれる、また違ったリズム異常が現れます。

不規則に速く深い呼吸が突然中断され無呼吸となり、また早く深い呼吸に戻ります。他には、ゆっくりとした深い呼吸が特徴的なクスマウル呼吸と呼ばれるものもあります。

これは、糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症などで、血液中の酸性度が高くなりすぎている時に、血中の二酸化炭素を減らすため起こります。

また、呼吸をするのに不自然に力が入る努力呼吸と呼ばれる状態も、疾患を見つけるヒントになります。

気道を広げるために鼻の穴が広がる鼻翼呼吸は、呼吸不全の時に見られますし、吸気時に胸壁がくぼむ陥没呼吸が見られる場合は、COPDや気管支ぜんそくの疑いがあります。

呼吸器の異常に関連して、ばち指やチアノーゼといった症状が現れることがあります。ばち指とは、指の先端部が肥大した状態です。

肺がんや肺気腫などの呼吸器系疾患でみられます。チアノーゼとは、血液中の還元ヘモグロビンが増えて、皮膚や粘膜が青紫色になることです。どちらも酸素が不足することと関連した症状です。

【最後に】
いかがでしたか?呼吸の測定の方法や、呼吸の異常からわかる疾患についてまとめてみました。呼吸を観察するだけでも、これだけの疾患と関連付けられるというのは驚きですね。

患者さんのバイタルサインから、多くのことを読み取ることができます。呼吸を測定するなんて簡単だと思っていた方も、この機会にコツや関連疾患など見直してみてくださいね。


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