聴診器のトリセツ!腹部と心音の聴診について

聴診器のトリセツ!腹部と心音の聴診について

腹部や心音といった体の内部の音は、聴診器を使って聴くことができます。腹部や心音の聴診の仕方や、異常な音についてまとめました。

腹部の聴診

腹部の音を聴くときには、患者さんには横になってもらいます。腹壁の1か所に膜型聴診器を軽く当てて聴診します。腹部の音は高い音なので、膜型を使います。

音の頻度や性状を観察します。グルグルという音が腸蠕動音で、食べたものや空気が腸内を移動する時の音です。便秘の時は腸の動きが鈍って、腸蠕動音が少なめになることがあります。

もしイレウス(腸閉塞)がある場合には、長く聴いていると「ピキン」というような特徴的な金属音が聴こえることがあります。ただし、イレウスでも麻痺性イレウスだと音は全く聴こえません。

聴診器を患者さんに当てる前には、聴診器が冷たくないか毎回ちゃんと確認することも大切です。いきなり冷たいものを皮膚に当てられたら、患者さんも不快ですよね。前もって手で温めておきましょう。

腹部体表区分と体の断面

腹部の細かい部分を表すのに、腹部体表区分という分け方を使います。腹部は肋骨弓から骨盤までの間ですが、これを4区分または9区分で表します。

4区分の場合は、臍の高さで上下を分け、正中線で左右を分けます。右上腹部・左上腹部・右下腹部・左下腹部の4つです。9区分の場合は、上下はだいたい3等分で、左右は鎖骨中線で分けます。

上の段から、右季肋部、心窩部、左季肋部、右側腹部、臍部、左側腹部、右腸骨部、下腹部、左腸骨部と呼びます。

体の断面も、細かい場所を伝えるのに重要です。正中線で分ける矢状面(正中面)、体と平行に分ける前頭面、上下に分ける水平面があります。

心音の聴診

心音とは、心臓の収縮・拡張時に弁の閉鎖に伴って発生する音です。心房と寝室の間にある房室弁が閉じる時の音を第Ⅰ心音(Ⅰ音)といい、心室と動脈の間にある動脈弁が閉じる時の音を第Ⅱ心音(Ⅱ音)といいます。

心音は高い音も低い音もあるので、高音を聴く膜型と、低音も聴けるベル型を使い分けます。

弁の真上ではなく、心音を聴取しやすい場所に聴診器を当てます。大動脈弁領域の音は第2肋間胸骨右縁、肺動脈弁領域の音は第2肋間胸骨左縁でよく聴こえます。

この2つはⅡ音です。一方、Ⅰ音が聴きやすいのはどこでしょうか。三尖弁領域は第4肋間胸骨左縁、僧房弁領域は心尖部で音が拾いやすくなります。

心音の異常

心音に異常があると判断するのは、心音が亢進・減弱していたり、過剰心音が聴かれたり、Ⅱ音の病的分裂がある場合などです。

過剰心音とは、Ⅰ・Ⅱ音以外の心音を指し、代表的な物にはⅢ音・Ⅳ音というものがあります。Ⅲ音はⅡ音の後に生じる低い異常音で、心室充満音とも呼ばれます。

心不全で見られますが、若年者でも発生することがあり、その場合は異常ではありません。Ⅳ音はⅠ音の前に生じる小さい異常音で、心筋の硬化などによって起こります。心房収縮音ともいいます。

また、心雑音が発生することもありますが、この主な原因は弁膜症外です。

心音の異常と疾患は、どのように結びつくでしょうか。僧房弁が十分閉まらなくなった状態を僧房弁閉鎖不全症といいますが、この時は房室弁が閉じる音であるⅠ音が弱くなります。

また、心臓の周囲を覆う膜の中の液体である心膜液が溜まっている時も、心臓が水槽の中に浮かんでいるような状態になっているので、Ⅰ音が聴こえにくくなります。

病態に関連する特徴的な心音を暗記で覚えようとすると大変ですが、機序を考えてみればわかりやすくなります。まずは心臓の構造からしっかり頭に入れておきたいですね。

最後に

いかがでしたか?腹部や心音の聴診についてまとめてみました。看護師に求められるのは診断ではなく、異常の発見です。

どのような音が異常なのか、その音が聴こえるときは何が考えられるのかをしっかり頭に入れておきましょう。

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