ガス中毒で最も多い一酸化炭素中毒と硫化水素中毒の対処法

ガス中毒で最も多い一酸化炭素中毒と硫化水素中毒の対処法

有毒ガス中毒は、その名の通り有害な気体を吸って起こる中毒です。さまざまな原因物質がありますが、ここでは特に多い一酸化炭素中毒と硫化水素中毒、治療法についてまとめてみました。

一酸化炭素中毒

一酸化炭素中毒は、冬になるとよく聞かれるようになります。換気の不十分なところでガスストーブや練炭などの暖房器具を不完全燃焼させると、一酸化炭素が発生し、中毒症状を引き起こします。

一酸化炭素は酸素の250倍もヘモグロビンに結合しやすく、一酸化炭素の結合したヘモグロビン(一酸化炭素ヘモグロビン)は酸素を運べなくなってしまいます。

一酸化炭素中毒の特徴は、皮膚の色が鮮紅色になることです。これは、血中で増加している一酸化炭素ヘモグロビンが鮮紅色をしているためです。

空気中の濃度が0.1%程度でも昏睡、呼吸不全、死亡などの重篤な症状を起こすとても怖い有毒ガスです。暖房器具を使う時は、換気や点検などをしっかり行っておきたいですね。

硫化水素中毒

硫化水素は高濃度の場合、嗅覚の麻痺や目の損傷、呼吸障害などを引き起こします。吸引した濃度によっては、肺水腫の症状が遅れて出てくることもあります。

濃度100ppmの硫化水素にさらされた時には約48時間後、300ppmでは約1時間、600ppmでは約30分で症状が現れます。このため、経過観察は48時間行います。

硫化水素は空気よりも重いため、換気をしても拡散が遅く、周囲への二次被害の危険があります。

毒性が強く、皮膚粘膜への刺激性もあるため、救出や治療の際は防護服を使用する、不用意な換気を避けるなど自分や周囲の安全を確保する必要があります。

臭いの強いガスですが、嗅覚を麻痺させる作用もあるため、知らずに火山や温泉などに近づいた登山客やスキー客が被害にあうこともあります。化学工場や実験施設でも事故が度々起きており、このような施設では監視・管理が法規制されています。

毒性が強く致死率も高いため、酸素吸入や解毒作用のある亜硫酸化合物の投与をできるだけ早く行う必要があります。

高圧酸素療法

ガス中毒の患者さんに対しては、空気より濃度の高い酸素を投与する必要があります。酸素マスクでは100%の酸素投与ができますが、さらに濃い酸素が必要な時には、高圧酸素療法という方法を使います。

高圧酸素療法とは、大気圧よりも高い圧力の酸素を満たしてあるタンク型の医療機器の中に患者さんを収容し、圧縮された酸素を吸ってもらう治療です。多くの場合、2~3気圧、1回に付き数十分~数時間程度で治療します。

一酸化炭素中毒にはこの高圧酸素療法が有効です。血中の一酸化炭素ヘモグロビンが半分に減るまでの時間は、通常の空気呼吸だと4時間かかりますが、酸素100%の酸素マスクによる吸入で80分、3気圧の高圧酸素療法で20分程度まで短縮できます。

高圧酸素療法を行う時は、火気には厳重に注意します。ライターやマッチのようなものはもちろんですが、中で静電気が起こるだけで爆発したり、使い捨てカイロから発火したりという事故が起こる可能性があります。

また、先天性肺嚢胞症、閉所恐怖症などの精神疾患の患者さんや妊娠中の人には使えません。

最後に

いかがでしたか?有毒ガス中毒の中でも特に多い一酸化炭素中毒と硫化水素中毒についてまとめてみました。

目に見えないものだからこそ怖い有毒ガス中毒。種類によっては、救助者や医療者にも危険を及ぼす場合もあります。原因物質をできるだけ早く特定し、それに合った対処をすることが大切です。


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