原因の仮説立てをするフィジカルアセスメントのポイント
- 2015/11/7
- ノウハウ・ハウツー
- バイタルサイン, フィジカルアセスメント
原因の仮説立てをするフィジカルアセスメントのポイント
フィジカルアセスメントという言葉を聞いたことがありますか。
看護師が業務を行うに当たって、とても大切になる考え方です。
ここでは、フィジカルアセスメントとは何か、フィジカルアセスメントに必要な情報を集めるのにどのような手段があるのかということについてまとめてみました。
フィジカルアセスメントとは
フィジカルアセスメントとは、言葉でいえば、「患者さんの内側から現れてくる情報を意図的に収集して、それに意味づけをしていく」ということを指します。
これだけではわかりにくいので、例を挙げてみます。目の前の患者さんが「息苦しい」と訴えたとします。
この患者さんに、まず頭からつま先まであらゆる検査をする先生、いきなりCTをとったりするような先生はいないですよね。
かといって、息苦しいなら呼吸器に問題があるはず!とすぐに決めつけて、呼吸器系の検査だけ行うのも問題があります。
もちろん呼吸器系の異常がある可能性も高いですが、息苦しさは貧血や心不全などの症状としても表れます。決めつけることで、本当に異常がある部分を見落としてしまう危険があるのです。
そこで、まずは患者さんの主訴、現病歴、既往症、年齢、性別などの情報から、「こういうことが起こっているかもしれない」といういくつかの可能性を考えることから始めます。
そして、それを裏付けるために必要な情報を絞り込んでいきます。
そのために、関連する検査を行い、原因を特定し、「この患者さんが今あるトラブルを解決し、自分らしい暮らしをするためにはどういう援助ができるのか」を見出していく過程が、フィジカルアセスメントなのです。
情報を絞り込む過程で、必要な検査や診察は何か、それによって何を知りたいのかを常に明確にしておかなくてはなりません。
決まりになっているから血圧などのバイタルサインを測定するということでは、看護師が測定する意味がありません。
機械で測定して記録しておけばいいですよね。どうして血圧を測るのか、この患者さんならどんな値が予測できるのか、予測外の値が出た場合、どんなことが考えられるのかということを頭に入れて測定することが大切です。
そのためには、病気や人体について、十分な知識が必要になります。
主な診察法
必要な情報を収集していくために、どのような診察法があるのでしょうか。代表的な物に問診があります。本人や家族から、主訴や健康歴などを聞き取ります。
聴診もよく用いられる方法です。自然に聞き取れる音に加えて、聴診器を用いて心音や腸音などの微弱な音を聴くこともあります。
触診は手で直接触れて、湿度、大きさ、硬さ、しこりの有無など、皮膚や身体内部の形態や機能を観察します。他にも打診、視診、嗅診などがあります。
最後に
いかがでしたか?看護師は業務の中で、バイタルサインを測定したり問診などの診察を行ったりして、患者さんの情報を多く集めています。
何のためにそれらの情報を集めているのかという目的意識を持ってその業務を行うことが大切です。いつも患者さんと接している看護師でなければ気付けないこともあるかもしれません。
患者さんのよりよい生活のために、情報を収集する方法や、その情報から考えられる疾患を導き出せるような知識を身につけていきましょう。