三方活栓を使用しない末梢静脈路閉鎖式システムのメリットとは
- 2017/3/30
- ノウハウ・ハウツー
三方活栓を使用しない末梢静脈路閉鎖式システムのメリットとは
患者さんの治療には欠かせない点滴、注射は看護師の日常業務です。
点滴、注射には、栄養補給、電解質バランの補正、抗生物質の投与など様々な目的があり、投与経路はCVカテーテル、ピッグカテーテルなどの中心静脈と、末梢静脈路に分けられます。
この記事では、末梢静脈路のうち、蓋つき三方活栓を使用しない閉鎖式システムのメリットについて解説していきたいと思います。
蓋つき三方活栓はとても便利な開放式システム
古くから使用されている「蓋つき三方活栓」はとても便利です。閉鎖式システムではなく開放式システムと言えますね。
メインルートからの輸液と同時に側管からの薬剤投与がしやすく、側管の注射器は取り付けたままにしておけますので、患者さんの急変処置時には大変効率的に感じます。また、輸液の流量方向が一目で分かり、視認性が良いことも特徴です。
しかし、三方活栓内部が逆流した血液で汚染したり、一度外した蓋を再装着することにより、三方活栓内部に細菌が増殖するリスクも高いと言われています。特に、持続点滴ではなく末梢静脈路をロックしておく場合は、三方活栓内に汚染した液体が溜まりやすくなります。
最近では、このような感染リスクを考慮し、末梢静脈路を留置する症例においては、蓋が無いタイプの閉鎖式システムが推奨されています。
蓋つき三方活栓とニードルレス(針なし)閉鎖式三方活栓、感染のリスクとは
蓋付き三方活栓であっても、看護師が手指消毒とスタンダードプリコーション(標準予防策)しっかり行い、三方活栓の蓋を外すたびに、接続部位消毒を厳重に行い、さらに滅菌済みの蓋を付けておく。
そして三方活栓内に汚染された液体が貯留しないように、しっかりとプライミングを行う。これを十分に行えば、血流感染のリスクは減らせるでしょう。
同一条件の患者、輸液製剤、末梢静脈路確保の部位で、上記の方法とニードルレス(針なし)の閉鎖式三方活栓を使用することとの、感染率の違いは分かりません。
しかし、蓋つき三方活栓を使用する場合は血流感染予防のための看護師の主義は煩雑となっています。感染対策の手技が正確かは個々の看護師の熟練度に左右されやすいと言えます。
ニードルレス(針なし)の閉鎖式三方活栓を使用すれば、手技は簡単で短時間です。また個々の看護師の熟練度に左右されることは少ないでしょう。
末梢静脈路の閉鎖式システムのメリットとは
輸液製剤から穿刺部位までの末梢静脈路をクローズ(閉鎖)に保つことのメリットは2つあります。
患者の血流関連感染症のリスクを減らすこと、金属注射針を使わないことにより看護師の針刺し事故リスクを減らすこと、の2つです。
末梢静脈路を大気中に開放しないことによって、接続部位や三方活栓のふたの部分から細菌などの汚染物質が入り込まずに、清潔状態を保持できます。
メーカーによって異なりますが、ニードルレス(針なし)閉鎖式三方活栓の側管投与部分は、ゴム等の素材でできています。その部分から薬剤投与を行う場合は、個包装のアルコール消毒綿花を用いて、十分に清拭、乾燥してから行います。
末梢静脈路の閉鎖式システム使用時の注意点とは
閉鎖式システム用の輸液セット、ニードルレス三方活栓、専用エクステンションチューブ、ニードルレスカニューラ等は、同一規格の商品を使用する必要があります。
そのため、A病院で末梢静脈路を確保し、B病院に転院した場合、同じメーカーの商品を使用していなければ継続使用できないことになります。
また、閉鎖式システム用のパーツは、蓋つき三方活栓や普通の輸液ルートと比較し、高額である場合が多いため、病院によっては症例を選んで使い分けているようです。
インジェクションサイト(側管を投与するポート)へのアクセス回数には制限があり、何回まで可能かはメーカーによって異なりますので、注意書きを確認しましょう。
まとめ
いかがでしたか?三方活栓を使用しない末梢静脈路閉鎖式システムのメリットについて解説してきました。
蓋つき三方活栓の使用が悪いわけではありませんが閉鎖式システムを導入することによるメリットも大きいと知って頂きたいと思います。