意外とムズカシイ聴診器の使い方と呼吸音の聴診ポイント
患者さんの体内からの音を聴くために欠かせない聴診器。自然に聞こえる音だけではわからない患者さんの体内の異常を発見することができます。
ここでは、聴診器の部位名や使い方、呼吸音の聴診についてまとめてみました。
聴診器
耳に入れる部分をイヤーピース、そこから伸びる長く曲がった管をイヤーチューブと呼びます。
チューブでつながった先にあるのが、患者さんの体に当てるチェストピースです。チェストピースは、一般的にベル型と膜型の切り替え式になっています。
膜型は低周波数帯域がカットされ、高周波数帯域が聴きやすいため、呼吸音や腸蠕動音などの高温を聴き取るのに適しています。一方ベル型は低温から高音まで全周波数域の音を聴き取ることができます。
強く押し付けてしまうと皮膚が膜の役割をして膜型のようになってしまうので、押し付けすぎないようにします。心音などを聴取する際に使用します。それぞれの特徴を覚えて、使い分けることが大事です。
聴診器で聴取する音
聴診器では、どのような音を聴くのでしょうか。血圧測定時のコロトコフ音や、呼吸音と副雑音、心音や腸蠕動音、血管雑音、シャント音などです。
体の内部からの微かな音も聴き取り、患者さんの状態を確認できます。それぞれに大切なポイントがあり、どんな音が正常でどんな音が異常かを把握しておく必要があります。
呼吸器の聴診
呼吸音は、聴診器の膜型を使って呼気、吸気ともに各部位で1呼吸以上連続して聴診しましょう。
サッサッと聴診器を動かす人がいますが、1か所1呼吸以上聴かないと異常を発見できません。肺の上から下に、左右対称に聴いていきます。
同じ部位の左右差がないかを確認するためです。左右差があるとすれば、片方に病変があるということですね。
正常音と副雑音
呼吸音は、正常で聴こえ得る正常呼吸音と、正常では聴こえない副雑音とに分類されます。正常呼吸音には気管呼吸音、肺胞呼吸音、その中間の気管支肺胞呼吸音があります。
気管呼吸音は呼気時の方が音が大きく長くなるのに対し、肺胞呼吸音は呼気時の音が初期のみ聴き取れるくらい小さいものになります。
副雑音は、4種類を覚えておきましょう。低調性連続性副雑音は、グーグーといういびきのような音として聞こえます。高調性連続性副雑音は、ヒューヒューという笛のような音です。
細かい断続性副雑音はパチパチと聞こえ、捻髪音と呼ばれます。粗い断続性副雑音はブツブツという水泡のはじけるような音です。
連続性副雑音は、何らかの理由で気道や気管支が狭窄している時に聴こえる音です。太い気道が狭くなると低い音、細い気管支が狭くなると高い音が出ます。
リコーダーなどの笛でも、太い物のほうが低い音が出ますね。例えば気管支喘息の場合なら、気管支が狭窄して高い連続性副雑音が出ます。
断続性副雑音はどうでしょうか。パチパチという捻髪音は、何らかの異常があって開きにくくなっている肺胞が開くときに生じる音です。
ブツブツという水泡音は、気道にたまった水分がブクブクと泡立っている音です。肺炎や気管支炎などで、水が多くたまった時に聞かれます。
最後に
いかがでしたか?聴診器の使い方や、呼吸音の聴診についてまとめてみました。呼吸について観察する時は、聴覚だけでなく視覚でも患者さんの様子を確認したいものです。
呼吸パターン、胸郭の状態、呼吸に伴う腕の動きなども目で見て異常がないか判断しましょう。