経管栄養、NGチューブとEDチューブ、意外と知らない適応の違いとは
急性期病棟、集中治療室、慢性期病棟、在宅医療問わず、経管栄養のためチューブ類を留置されている患者さんはたくさんおられます。また、高齢者、成人~小児まで幅広い適応があり、経管栄養に関する知識は看護師に必須と言えるでしょう。
今回は、経管栄養に使用するチューブ、NGチューブとEDチューブの違いについて解説していきます。何気なく取り扱っているチューブの適応の違いを知って、看護技術に磨きをかけてください。
まず胃管カテーテル留置の目的を理解しよう
胃の中に留置する「胃管カテーテル」のうち、栄養補給の目的で使用するチューブを経管栄養チューブと呼んでいます。
胃管カテーテルを留置する目的は、経管栄養だけではありません。その他の用途としては、胃内容物のドレナージ・消化管の減圧・検査治療後の観察・薬剤の注入等です。
具体的な例としては、術後の誤嚥や嘔吐の予防、薬剤や異物誤飲時の胃洗浄時に使用、上部消化管出血時の観察に使用、等が挙げられます。
経管栄養以外の目的で留置する場合は、チューブにある程度の太さが無いと、目的を達成することが出来ません。このためNGチューブが選択されます。EDチューブはより細く、柔らかい素材でできているため、経管栄養に特化した目的で使用されます。
NGチューブの特徴は?文字通り、胃の中に留置するもの
NGチューブは、nasogastric tube の略で、文字通り胃の中に留置するチューブです。NGチューブは、経鼻で先端を胃に留置するチューブ全般を指し、商品としてレントゲン不透過・透過、側孔あり・なし、などたくさんの種類があります。
利点としては、
- 胃内容物のドレナージ・消化管の減圧・検査治療後の観察・薬剤の注入等用途が広い
- 経管栄養にも使用できる
- チューブ自体にコシがあり、挿入手技が容易である
- 系が太いため、注入物や排液による閉塞が起こりにくい
- 排液バックとの接続が可能
扱いづらい点は、
- EDチューブより太くて固い素材で、鼻腔への留置中の患者の不快感が強い
- 胃より先に先端を置くことは出来ない
- 胃内に先端を留置させるため、長さが短い
例えば腸閉塞で緊急に減圧が必要な患者さんが発生した場合、イレウスチューブはすぐに挿入することは出来ません。
物品の準備、レントゲン透視の準備等があるからです。場合により鎮静も必要になります。その場合でも、すぐにNGチューブを挿入することで、一時的な減圧を図ることが出来ます。
心肺蘇生処置後、全身麻酔時も、嘔吐予防のためにNGチューブを留置されることが多いようです。NGチューブと排液バック(排尿バック等)を接続し、排液を取集することも可能です。
先端は胃の中に留置されているため、経管栄養剤を注入する前に、カテーテルチップで空気を注入し気泡音を聞く事で先端確認が可能です。
EDチューブの特徴は?経管栄養に特化していること、取り扱いの注意は
EDチューブは、elemental diet tubeの略で、経管栄養に特化したチューブです。レントゲンの透視で撮影できるようになっています。
利点としては
- NGチューブに比べて系が細く、鼻腔への留置中の患者の不快感が少ない
- やわらかい素材でできており、長期留置に耐える
- 先端を幽門を越えて十二指腸まで延長させる長さがある
ことが挙げられます。
扱いづらい点は、
- 系が細いため、再粒状の薬剤を注入しにくく、閉塞しやすい
- 挿入するときに手技が難しい(チューブにコシがないため、ガイドワイヤーという細い針金をチューブの中に通して挿入する)
- 通常、挿入時にレントゲン撮影が必須である
- 経管栄養以外の用途には適していない
- 排液バックとの接続は原則としてできない
ただし長期留置がいつまで可能か、適切な入れ替えの時期については明確なエビデンスはなく、EDチューブの使用状況や汚染具合、劣化の状態によって判断されます。
入れ替え時のレントゲン透視については、在宅患者さんや施設入所中患者さんの場合、行っていないこともありますが、医師が挿入し胃・十二指腸内に入っていると判断されれば使用可としている場合もあるようです。
体位変換時に誤って脱落させたり、自己抜去されてしまうと容易には再挿入できないため、管理にはより注意が必要です。
経管栄養チューブの脱落や誤挿入による、肺への流入を防ぐためには
先に説明したように、NGチューブはカテーテルチップで空気を注入し、胃内気泡音を聞く事と、吸引で胃内容物の回収を確認することで、カテーテルの先端が胃内にあることを確認できます。
しかし、EDチューブは、先端が幽門を超えて腸まで入り込んでいる場合があり、その場合は気泡音は確認できません。鼻腔の固定が確実に行えているか、挿入長の狂いが無いかをその都度確実に確認しましょう。EDチューブの脱落を疑った場合は、すぐに医師に報告し、決して経管栄養を投与しないことが大切です。
確実な先端確認は、レントゲン透視で行います。
まとめ
EDチューブとNGチューブの特徴、いかがでしたか?
普段何気なく行っている経管栄養などのケアも、それぞれの適応の違いや、取り扱い上の注意点を押さえておけばより安心ですね。
さらにデキるナースを目指して、一緒に頑張りましょう。