新米看護師必見!採血結果の数値の意味と疑う病気
採血検査の結果を見ても、患者さんの疾患と結び付けて考えられない。異常値か正常値かは調べれば分かるけれど、意味のある情報なのかが分からない。
採血検査の結果を前に、悩んでいる看護師は少なくありません。
採血検査の結果は、一つ一つの項目が正常かどうかをチェックしているだけでは意味がありません。例えば、白血球の値が高い、ではCRP(C反応性たんぱく)は?というように各結果を結び付け、読み取ることが必要です。
この記事では、採血結果を読み取るコツについて解説していきます。
病態が見える、検査項目をカテゴリー分けして覚えよう
採血項目は、血球検査・生化学検査、といった検査項目ごとに分類されています。
血球検査では、赤血球数・白血球数・血小板数・ヘモグロビン濃度などを含む検査で、「血液を構成する成分の検査」です。
生化学検査はかなり多くの項目があり、代表的なものはGOT・GPT・LDH・CPK・血清クレアチニンなどで、主に各臓器や細胞から分泌される物質の値を調べる検査です。
病態を読み取るために、これらの検査項目をカテゴリー分けして覚えていきましょう。
肝臓機能を読み取ろう、肝臓機能は血小板の値もチェックして
ALT(GPT)・AST(GOT)は細胞の中に含まれる酵素です。肝臓の細胞が障害を受けると、酵素が血液中に漏れ出します。そしてALT(GPT)・AST(GOT)の値が上昇するのです。
ALT(GPT)はほとんどが肝細胞の中に含まれており、肝細胞特有の酵素と言えます。このため、ALT(GPT)の値が高い患者さんは、何らかの原因で肝臓に障害を受けています。
AST(GOT)は、全身の筋肉・心臓の筋肉にも含まれているため、ALT(GPT)が高くないのにAST(GOT)が高い状態は、肝機能障害以外の原因も考えられます。
γ-GTP(ガンマ‐GTP)は肝臓・胆管細胞が破壊された時に上昇します。γ-GTP値が高いことは、肝臓の細胞に負担がかかっていることを表しています。特にアルコール性肝炎で上がります。
肝臓は血小板を作り出す臓器でもあります。肝臓機能が弱っている患者さん、特に慢性肝炎の場合は、血小板を作り出す力が弱まっていますので、血小板の値が低くなっています。
血小板の値が低いということは、止血機能が悪い「血が止まりにくい」状態になります。
肝臓機能の読み取りは、肝臓細胞から出る酵素の値と血小板数をチェックしましょう。
腎臓機能を読み取ろう、貧血の有無と程度をチェックして
腎臓は体内の老廃物を排泄し、体液を再吸収する働きがあります。
老廃物をどれだけ排出できる能力があるか、を表す代表的な値はクレアチニン値です。クレアチニン値が高いほど、体内に老廃物を排出できていない、ということになります。
BNP(尿素窒素)の値も同様です。クレアチニンとBUNはセットで覚えておきます。
腎臓機能が低下すると貧血が起こります。腎臓は赤血球をつくるはたらきを促進するエリスロポエチンというホルモンを分泌する臓器でもあります。腎臓機能の低下により、腎臓かエリスロポエチンの分泌が少なくなると、貧血が起こります。
貧血の程度は、ヘモグロビン値、赤血球数をチェックしましょう。
クレアチニン、BNPは高く異常な数値でも、貧血が全くない場合は、慢性的な腎臓機能低下ではなく、脱水が起こっていることも考えられます。著しい脱水状態はクレアチニン、BNPを上昇させます。
心臓機能を読み取ろう、心筋梗塞の発見には不可欠な検査とは
心臓は心筋という筋肉でできています。
心筋梗塞は、心臓に栄養を送る血管が血栓(微細な血の塊)でふさがれ、血流が途絶え心筋の一部が壊死してしまう状態です。
心筋梗塞を発見するために読み取るべき採血項目は、白血球数、CPK、CPK-MB・AST(GOT)です。肝臓機能の項目で書いたように、心臓の筋肉にはAST(GOT)が含まれており、心筋が障害されることでこの酵素が上昇します。
CPKは全身の筋肉に分布していますが、CPK-MBは心筋に特有の酵素ですので、これらが同時に上昇していることは心筋梗塞を表していることが多いでしょう。
これらの酵素が上昇するより前に、炎症反応として白血球数が増えることも併せて覚えておきましょう。
糖尿病を読み取ろう、血糖値以外もチェックして理解しよう
糖尿病の診断基準は、空腹時血糖値、食後2時間血糖値、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が中心になります。
膵臓からのインスリン分泌がスムーズに行かない場合、高血糖状態となり、これが長期間続くと余分なブドウ糖が体内の蛋白とくっついていきます。赤血球のヘモグロビンと過剰なブドウ糖が結合したもののうち、診断の指標となるものがHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)です。
長期間、血糖値が高い状態にさらされた血管は傷んできます。毛細血管の集まりである腎臓は、特に障害を受けやすい臓器です。糖尿病患者さんの検査データは、腎臓機能も併せてチェックしましょう。
膵臓にインスリン分泌力がどれくらいあるかをチェックするために、血中インスリン濃度を測定することもあります。合わせてチェックしましょう。
まとめ
採血結果を読み取るコツは、単に項目ごとの正常値を覚えるだけではなく、病態ごとにカテゴリー分けして把握することです。
この記事で取り上げたカテゴリーは、ほんの一例です。もう一歩進んで、患者さんの症状と関連付けられるようになればプロの看護師と言えるでしょう。