看護のキホン!人工呼吸器の基本的な使い方
人工呼吸器に慣れている病棟ならともかく、人工呼吸器を使用している患者さんが入院しているととても緊張するものです。
今回はいざとなったときに慌てないための人工呼吸器を使用している患者さんの看護の基本をご紹介します。
1.設定を確認しよう
人工呼吸器の設定は患者さんの状態に基づき医師が指示して設定されています。
換気モード、PEEP、FiO2、PS圧が指示通りに設定されているかを確認しましょう。
PEEPについてはこちらにより詳しく解説しています。
PEEPってなに?看護師を悩ます人工呼吸器用語解説します
また一回換気量、分時換気量、ピーク内気道圧、吸気フロー、呼吸数の設定値と実測値を比較し、変化や異常がないか確認します。
2.ME機器を確認しよう
人工呼吸器の組み立てはMEさんが行ってくれる施設が多いかと思いますが、基本的構造を理解し、本体、回路周辺に異常がないか確認できるようにしましょう。
①電源・配管の確認
コードの電源が非常用電源に接続されているか、酸素・空気のガス配管に正しく接続されているか確認します。
②加温加湿器の設定
加温加湿器の電源が入っているか、加温加湿器のチャンバーに水があるか、温度設定は適切に設定されているか、ウォータートラップ内の結露水が貯留していないか確認します。
患者さんの口元から電源部まで回路の破損・折れ曲がりがないか、接続部のゆるみ・破損はないか確認します。また、回路にテンションがかかってないかなども確認し、適切な位置に調整します。
3.患者さんを確認しよう
①呼吸状態
呼吸状態(呼吸回数、呼吸様式、呼吸音、左右差、SpO2値、呼吸音)などに異常がないか確認します。加えて自発呼吸の有無、ファイティングの有無なども確認しましょう。
ファイティングが多いようであれば、換気モードや設定を変更する必要もあります。
②循環動態
人工呼吸器下では陽圧換気により、静脈血が心臓に戻りにくくなり心拍出量が低下することがあります。特に導入時に起こりやすいため、導入時は血圧変動、頻脈に特に注意します。
③鎮静評価
人工呼吸器下で呼吸管理をする場合、不安、安静の促進、気管挿管による苦痛・違和感を緩和し、無意識による抜管などの事故を防ぐ目的で適切な鎮静をかけて管理をします。
過鎮静は廃用萎縮、DVT、褥層形成、離脱の遅延などを引き起こす恐れがあり、適切な鎮静が必要です。鎮静評価にはリッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS)がよく利用されています。
4.アラームに対応しよう
アラームが鳴ったらまず患者さんの呼吸状態やモニタを確認し、アラームの内容を確認し原因に対応します。必要があればすぐに徒手換気へ切り替え応援要請をします。
アラームには3段階のレベルがあります。
①緊急事態アラーム
電源供給の異常、作動不能、ガス供給圧低下などで作動します。ME機器まわりを確認しましょう。
②救命アラーム
分時換気量の低下、気道内圧の低下、無呼吸などで作動します。
原因としては、呼吸器本体や電源のトラブル、 自発呼吸との不同調(ファイティングやバッキング、トリガ不全)、エアリーク、回路やチューブの閉塞、呼吸状態悪化や過鎮静に伴う自発呼吸の減少・消失、などが考えられます。
③合併症予防アラーム
気道内圧の上昇、呼吸回数の上昇、分時換気量の上昇などで作動します。原因として気管・気道内や回路の閉塞、1回換気量の低下、自発呼吸との不同調(ファイティングやバッキング、トリガ不全)などが考えられます。
最後に
いかがでしたか?人工呼吸器をマスターするには、人工呼吸器の原理や換気モードや設定の理解、人工呼吸器が全身へ与える影響など様々なことを理解する必要があり、どこから手をつけていいかわからなくなることもあります。
まずは、目の前の患者さんのおかれている状況、その患者さんの設定を理解することから始めてみてはどうでしょうか。