人工呼吸器のFiO2、PEEPって何?基準値ってあるの?
人工呼吸器の用語には横文字が多く、それだけで身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は人工呼吸器を使う上で知っていたい基本中の基本、PEEPとFiO2についてご紹介します。これを知ることで人工呼吸器の理解がぐっと深まりますよ。
1.PEEP
PEEPは”ピープ”と読みPositive end expiratory pressureの略で、日本語では呼気終末陽圧と訳されます。
PEEPについてはこちらにより詳しく解説しています。
PEEPってなに?看護師を悩ます人工呼吸器用語解説します
肺に常に陽圧をかけた状態を保持し肺胞の虚脱を防止するものです。通常の呼吸では、肺は横隔膜の動きにより吸気時に陰圧になり膨らみ、呼気時に陽圧になりしぼみます。
陰圧になることで肺胞は広げられ虚脱を防いでいます。
人工呼吸器下で呼吸管理をする場合、横隔膜はほとんど動くことがないため、肺に膨らんでいない部分ができ、肺胞がつぶれ無気肺や肺の虚脱を起こしやすくなってしまいます。
自発呼吸があっても寝たきりの場合、背中側の肺の動きが悪くなり無気肺になることが知られています。
PEEPをかけ呼気時にも少し肺を膨らませておく状態を保つことで、無気肺を予防できるのです。
その他にも①肺の仕事量を軽減させ肺を膨らみやすくする、②機能的残気量の増大させ酸素化を改善する、③静脈環流を減らして心不全を改善するなどの効果が期待できます。
ただし、圧損傷がある、循環血液量低下しているなどの場合は禁忌となります。
PEEPは2~5cmH2Oで開始し、高くても20 cmH2O以下に設定します。呼吸状態が改善し酸素化がよくなれば、ウィニングに向けて少しずつPEEPを下げていきます。
PEEP減量時には肺胞の虚脱のリスクを考え、SpO2値、呼吸パターンの変動に注意する必要があります。
2.FiO2
FIO2は”エフアイオーツー”と読み fraction of inspiratory oxygenやfractional concentration of oxygen in inspired gasの略で、日本語では吸気中酸素濃度と訳されます。
文字通り吸い込んだ息の中に含まれる空気の酸素濃度のことを指します。
大気中の空気を吸っている場合は、FiO2は21%です。人工呼吸器導入時はFiO2=1.0(100%)で開始しますが、高い酸素吸入濃度は酸素中毒を起こし肺障害の原因となるため、酸素化が改善し保持できるようであれば速やかに下げ、60%以下に保つべきとされています。
導入してから15~30分以内にPaO2を測定しFiO2並びにPEEPを調節します。高酸素による肺障害は一般的に100%の酸素を24時間吸入することで起こると言われています。
最後に
いかがでしたか?PEEPとFiO2は人工呼吸器の設定の中でも大事なものになります。これらを徐々に下げ、できるだけ早く人工呼吸器の離脱に持っていくことが治療の第一目標となります。