病棟看護師が看護助手とうまく付き合うための秘訣とは
入院患者さんの身の回りのお世話は看護師だけではできません。患者さんの配膳、配茶、環境整備、ベッドメイキング、荷物の運搬などすべて看護師が引き受けるとしたら、いったい何人の看護師が必要か想像もつきません。
看護師の補助を担い、患者さんのケアや物品の運搬業務を担当してくれる職種は、施設によって呼び方は異なり、看護助手、ヘルパー、ケアワーカーさんなど様々です。
適切な業務分担と、協力ができていればいいのですが、実は険悪になりがちな関係性だとご存知でしょうか?時に双方の退職理由、人間関係の悩みの種にもなっています。
そんな看護師と、看護助手さんが上手く付き合うための秘訣、解説します。
師長ですらお手上げ、古株看護助手さんの圧倒的存在感とは
若い看護師さんの中には「看護助手にイジメられた」という退職理由も少なくないのです。ベテランの看護助手さんは、患者さんからの信頼も厚く、院内の事も知り尽くしており、仕事に対してプライドと使命感を持っている方も多いものです。
例えば、新入り看護師に「Aさんは脳梗塞で半盲があるから左から話しかけて」とか、「血圧が高いから今日は入浴させないで」など指示されると、「そんなことはわかっている、偉そうに」と反感を買ってしまうこともしばしばあります。
看護師として当たり前の事を言ったつもりでも、気分を損ねてしまい「生意気」というレッテルを貼られてしまうこともあります。患者さんのケアを依頼しても無視される、看護助手間で悪い評判を流されることは実際に起こっており、精神的にまいってしまう看護師もいます。
職種が違っても尊重しあう気持ちを持って、お願いする態度で接すること
座談会で、看護助手さんの看護師に対する不満を聞いてみたことがあります。
出るわ出るわ、たくさんの思いを聴くことが出来ましたよ。
「薬を飲めていないとか、食事量を確認していないとか、看護師の仕事を押し付けないで」「私たちの何倍も給料いいのに、汚い仕事はしない看護師はずるい」
「患者さんの話をろくに聞かない看護師より、看護助手の方が患者さんの思いを受け止めている」
「新人看護師に偉そうにされたくない」
等々様々です。
一様に言えることは、看護助手さんは患者さんと関わる仕事にプライドと使命感を持っています。看護師から頭ごなしに指示されることにとても抵抗が強いということです。
患者さんの快適な療養生活と、円滑な治療のために、看護師のサポートをしてくれる存在として、立場を尊重しお願いする態度が必要ということです。
看護師として見逃せない危険なことは、ハッキリと伝えることが大事
看護助手さんは、看護師ではありません。日々変化する看護のエビデンスを把握することは不可能です。今行っているケアが、明日正しいとは限りません。
患者さんのためにも、「危ない」と感じた看護助手さんの行為については、ハッキリと伝えることが必要です。このときは必ず「患者さんのため」という視点が必要です。
看護助手さんの声、教えられたとおりにやっているだけなのに!を変えるには
例えば、看護助手のBさん、患者さんのポータブルトイレの処理をした手袋のままで、次の作業に取り掛かってしまいました。手洗い、手指消毒、手袋交換をしてもらいたい看護師のCさん、頭ごなしに起こるのではなく理由を聞いてみました。
すると「私たちは前の師長さんから、手袋を使い過ぎているといつも注意されて、節約するようにキツく言われていた」と話してくれました。
そこで、看護助手さんみんなに説明会を開き、手洗い、手袋交換の必要性と、無意味な節約はしないように訴えたことで、状況は改善したそうです。
看護助手さんは、最初に教えられたことを忠実に守っていることがあります。新しい情報提供をしながら、「やってほしいこと」をハッキリ伝えていく必要があります。
■信頼されるには?看護師は責任を持つ、という姿勢を明確に!
看護助手さんとの関係は信頼関係第一です。大切な患者さんのケアの一部を担ってもらうわけですから、互いに信頼関係がなければ心配でたまりませんよね。
看護師は、患者さんに対して責任を持つ、という姿勢を明確にしなければなりません。看護助手さんの仕事に責任がない、という意味ではありません。
座談会でも「薬を飲めていないとか、食事量を確認していないとか、看護師の仕事を押し付けないで」という不満が出ていました。この場合も、看護師が「最終の責任は看護師にある、だから観察したことを教えてもらいたい」「教えてくれてありがとう」という態度で接していれば、どうでしょうか?
看護助手さんは、「○○さん、薬が飲みにくいみたいです」「食事の量が半分以下です」とスムーズに教えてくれるようになってきます。人は頭ごなしの注意は聞きたくないと思うものです。
看護助手から看護師を目指す、そんな人も増えている
患者さんからの信頼も厚く、気配り上手な看護師のEさん。実は、もともとは未経験で看護助手として勤務していたそうです。
はじめは看護師に指示されるままに忙しい毎日を送っていたそうですが、1年ほど経つうちに「私が看護師だったらこんな風にしたい」「看護師になったらもっと患者さんにしてあげられることが増える」という思いで、一念発起して勉強し看護学校に入学、奨学金を受けながら卒業し看護師になったそうです。
看護助手さんから、私たち看護師の仲間になってくれることはとてもありがたいことです。看護助手の仕事を通して「絶対看護師になんかなりたくない」と思われるよりも、「看護師として働いてみたい」と思われるような環境でありたいですね。
そのためには、看護師が看護助手に上から命令するような環境は望ましくありませんね。
まとめ
いかがでしたか?看護師と看護助手さんの関係性、お互いの立場を尊重し協力し合ってこそ患者さんのケアがスムーズに行えます。
看護師は、看護助手さんに「ケアの一端をお願いする」「患者に責任を持つ」という態度が必要です。看護師と看護助手との関係性悪化は、双方の退職理由になり得るほど深刻なものです。今の職場環境はいかがでしょうか、時には話し合ってみることも必要ですね。