一般病棟から手術室に看護師が異動するときの心構えと勉強のポイントは
- 2016/10/5
- 人事
一般病棟から手術室に看護師が異動するときの心構えと勉強のポイントは
看護師の皆さん、異動は他人事ではありません。
異動を打診され、自分は青天の霹靂とショックを受けていても、もはや看護部組織内では決定済み、なんてこともあります。
入院患者さんを看護する、という点では病棟間の異動は、抵抗なく受け入れられるという看護師も、手術室への異動となると話は別です。
今回は、一般病棟勤務の看護師が手術室へ異動になるときの「どうすればいいの」にお答えしたいと思います。一般病棟から手術室へ異動になったことがある筆者の経験も織り交ぜています。
看護師の皆さん、手術室なんて嫌だ!異動になる位なら辞める!と早まる前にぜひ参考にしてください。
一般病棟から手術室へ異動、経験者の声を聞いてみましょう
実際に、一般病棟から手術室へ異動を経験した看護師に、どんなことに戸惑ったか、不安だったか聞いてみました。
- 「なぜ自分が異動の対象になったのか分からない、腑に落ちない」
- 「何から勉強していいのか分からない」
- 「ちゃんと業務を教えてくれるのか不安」
- 「夜勤がない生活で、収入面がどうなるのか心配」
- 「生活パターンが大きく変わりそう」
一般病棟から手術室への異動は、自分が希望しているケース以外は「なぜ私がいかないといけないのか」という理不尽を感じることが多いようです。
病棟間での異動に比べて、手術室勤務のイメージがつかないため、生活そのものが大きく変わるのではないかという不安が強い傾向があります。
私も「来週から手術室ね」と宣告された時のショックは忘れられません。
一般病棟と手術室勤務の大きな違いをまとめました
一般病棟と手術室勤務の違いは?
と聞かれると、実際を知らなければ「全然違う」としか答えられないでしょう。
何が違うのか、まとめてみました。
一般病棟では、入院患者さんの食事時間、与薬、排せつ介助、消灯時間等は患者数や重症度が変化しても変わらない普遍的なものです。そのスケジュールを基本に、看護師の交代勤務が構築されています。しかし、手術室は「手術がある日」「手術が無い日」で全く動き方が異なります。
手術がない日はなかったとしても、自分に手術担当が割り当てられていない時間は、機材のメンテナンスや術前術後訪問などの業務が中心になります。
手術室は基本、夜勤がありません。その代りに病院によっては呼び出し待機、いわゆるオンコールの業務があります。また、手術は何時から何時、という決まりはありませんし、始まってみないと時間が読めません。そのため、定時で業務終了という概念自体が乏しい職場でもあります。
このように、手術室勤務は患者さんの入院生活のタイムスケジュールに沿った看護とは、勤務時間の考えかたが違っていると言えます。
手術室勤務の看護業務、直接介助と間接介助とは
手術室勤務の看護師の仕事としてまず思い浮かべるのが、医師にメスを渡す術衣姿の看護師の姿ではないでしょうか?
手術中の清潔介助を担当する看護師は、基本的に1人です。これを「直接介助」と言います。手術機材の準備、定位置への配置、手術の進行に応じて機材を手渡し介助するのが仕事です。
清潔領域には入らず、術野外からの機材の受け渡しや、外部への連絡、輸血の準備、術中看護記録の作成、時間のカウントなどを担当するのが「間接介助」です。
手術室に異動したとたん、医師にメスを渡す係を担当するわけではありません。
手術の流れや展開、清潔機材の取り扱いなどを熟知して清潔領域に入れるわけです。手術の見学から始まり、徐々に動ける範囲が拡大していくものと思ってください。
手術の内容によって異なりますが、一般的には間接介助の方が手術全体の流れを読まねばならず、熟練度を要すると言われています。
勉強面、一般病棟から手術室勤務へ異動、看護師はついていけるのか
結論から言います。大丈夫です、ついていけます。
外科系で術後管理を担当していた看護師、解剖生理を良く理解している看護師にとってはハードルは高くないと思います。解剖生理をしっかりと学びなおすことは大切です。
ただし、心臓血管外科、脳外科に関しては難易度が高いと思われます。その理由は、操作が繊細で、理解が難しいということです。
私は、循環器の一般病棟から心臓血管外科がメインの手術室に異動になり、慣れるまでに相当苦労しました。人工心肺自体は麻酔科医、臨床工学技士が担当しますが、使用機材の準備や手術機材の準備は看護師の担当ですし、血管の縫合は拡大鏡付きの眼鏡でないと見えないほど細かい作業です。
段階的に学んでいくことで、数年間ですべての症例に対応できるようになりました。
私でも出来ました、きっと看護師みなさん大丈夫ですよ。
看護師の不安、手術室は立ちっぱなしでしんどい、オンコールがつらい?
手術室への異動は、体力的にも不安を感じる看護師が多いと思います。
長い手術中ずっと立っていられるのか、休憩が無くトイレにも行けないのではないか。そんな不安があるでしょう。
夜間休日のオンコールは1人で対応できるのか、どれくらいの頻度で呼ばれるのか、家に帰っても気が休まらないのではないか、とオンコールに関連した不安もあると思います。
昔は、1人の看護師が1つの手術に付きっきりで、トイレにもいかず水も飲まず、ということもありましたが、最近は時間ごとに交代要員を付けたり、休息が出来るシステムが整っている病院もあります。
オンコールに関しては、自分が出来ること、出来ないことを的確に判断し、一人で無理がある症例については指導を付けてもらえるようなシステムがあるかを確認したほうが良いでしょう。
また、オンコールを担当する時期についても、十分に相談に乗ってもらえるかがポイントです。
一般病棟から手術室への異動、看護師の心構えは
必要以上に構えすぎることはありません。手術室では未経験者かもしれませんが、看護師として患者さんを看ることは同じです。
環境が違って気後れしてしまう、医師と直接接するため関係性に悩む、ずいぶん年下の手術室看護師から指導を受けることに抵抗がある、そんなこともあるでしょう。
最初から、無理についていくことはありません。生活パターンが変わること自体、とても疲れます。まずは環境に慣れることから始める、という心構えでいてください。
術前、術後訪問での看護は、一般病棟で看護を経験した看護師にしかできない、患者さんの心に寄り添う看護が発揮できるでしょう。
不安や疑問に答えられる手術室看護師に慣れると思いますよ。
それでも手術室は絶対行きたくない、向いていないという看護師さんへ
手術室に行ってみたものの、やっぱり入院患者さんのケアをしたい。手術室の仕事が苦痛。という看護師さんへのアドバイスです。
手術室勤務の経験は、どの部署に異動しても役立つと思います。しかし手術室は、患者さんに麻酔がかかった状態で、臓器がむき出しになったような緊張間の連続です。段階的な教育が受けられずに精神的に参っている、体力的に限界、という方は無理して続けることは良くないと思います。
どうしても向いていないと感じる場合は、再度一般病棟への異動を希望してもいいかもしれません。希望がかないそうにない場合は、転職を考えることは間違いではないと思いますよ。
まとめ
いかがでしたか?
看護師の一般病棟から手術室への異動は、環境、業務内容ともに大きく変化するため、精神的肉体的に強いストレスを感じると思います。
手術室勤務を通して得られることは少なくありません。今までの一般病棟の経験を生かして、患者さんの気持ちに寄り添う看護もできると思います。
しかし、手術室勤務には向き不向きが大きいことは否めません。どうしても向いていないと感じる方は、転職をおすすめします。ぜひ無料の転生サイトに登録し、あなたの経験を活かせる職場探しをしていただきたいと思います。