在宅患者さんに推奨される自己導尿(CIC)のメリット・デメリット
多量の残尿が起こる原因は、神経障害で膀胱機能が障害される脊髄疾患、消化管や骨盤内臓器の術後(大腸がんや子宮術後など)、脳血管障害、重度の糖尿病などによって発生します。
尿道狭窄による、排せつ障害としては、前立腺がん、前立腺肥大症が考えられます。
病院に入院中の場合は、残尿に対して看護師が導尿を行ったり、膀胱内留置カテーテルを留置する処置を行います。
しかし、残尿が慢性化し、在宅で過ごす患者様はどうでしょうか。自分で管をいれて尿を排出させる「清潔簡潔自己導尿(CIC)」の導入が検討されます。長期の膀胱内留置カテーテル留置とCICを比較してみたいと思います。
自己導尿(CIC)を行っている患者さんはたくさんいます
全国で約1万7000人程度の方が、在宅・療養型施設などでCICを行っていると言われています。自分でできない方は家族や介助者の方が実施する場合もあります。
医師や看護師が常駐していない状況でも、排尿を管理できる有効な手段です。
手技をマスターできれば、社会生活の活動範囲が広がります。
自己導尿(CIC)のメリットのまとめ
膀胱内留置カテーテルの留置より尿路感染が少ない
尿道留置カテーテル留置後4日後には、患者の大半が尿路感染を起こすというデータが報告されています。異物を長期間膀胱内に留置させることは、感染のリスクが大きいという事です。
膀胱内を低圧に保つことができる
膀胱の受動的な収縮、弛緩の繰り返しにより膀胱過伸展を予防します。膀胱の柔軟性を保持します。膀胱が充満し膀胱壁パンパンに張ると膀胱の虚血を招きます。虚血は感染しやすい状態を引き起こします。
カテーテルやバックの拘束感が無くなり行動範囲が広がる
カテーテルやバックが無いことで、仕事や生活に支障が少なくなります。外出や入浴も自由に行えます。
自己導尿(CIC)のデメリットのまとめ
手技をマスターする必要がある
医療者から指導を受け、自己導尿の手技をマスターする必要があります。自分で尿道に異物を挿入するという行為に対する心理的抵抗を乗り越える必要もあります。
自己導尿が安全に行えない場合は膀胱内留置カテーテルが必要となります。
一定時間ごとに自己導尿が必要、カテーテルの携帯が必要
外出中、仕事中問わず決められたスケジュールに沿って自己導尿が必要です。消毒に関する物品や、カテーテルそのものを携帯する必要があります。
誤った手技による感染のリスクがある
手洗いの不徹底、消毒剤の汚染等により尿路感染のリスクが高まります。
指導した自己導尿の手技や、スケジュールなどが守られているか、感染兆候が無いかなどを確認していくことが必要です。
1日尿量が1500ml程度になるように調整が必要
尿量は多い方が感染のリスクが減りますが、導尿回数が増加し労力が増します。1回の導尿量は400~500ml位になるように調整が望ましいといえます。導尿スケジュールの調整が必要です。
まとめ
いかがでしたか?在宅患者さんにCICが推奨されている理由について参考にして頂けましたか?
膀胱内留置カテーテルの方が看護師にとって管理は「楽」な場合もあるかもしれません。しかし、患者さんにとってどちらが良いのか?をしっかりアセスメントして、安全にCICが実施できるようサポートしていきましょう。