看護師が意外と知らない注射針のサイズと違いとは
看護師が取り扱う医療器材の中でも、最も神経を使うものといえば注射針です。
神経を使うポイントとしては、穿刺そのものに失敗が無いようにすること、使用後の針で自ら針刺し事故を起こさないようにすること、の2つでしょう。
用途による注射針の選択についてはどのくらい注意を払っているでしょうか。実は注射針には太さだけではない違いがあります。注射針の選択を間違えないために、看護師が知っておきたい基礎知識をお届けします。
注射針の太さ「ゲージ」が表す意味、ゲージが大きいほど細い理由は
太さを表すゲージ、という単位について解説します。
1インチ(25.4mm)の何分の1かを表す単位であり、例えば22Gは1/22インチということになります。すなわち、Gの値が小さいほど注射針は太いということになります。
検査用の採血に用いるのは概ね21~22G程度、輸血投与用の注射針は18~20G程度、筋肉注射用は23Gを使用します。インフルエンザワクチン等の皮下注射は26G程度の細い針を使用します。
注射針の太さによる用途の違いは、知識としてかなり普及していますし、国際規格として「カラーコード」が設定されているため見た目で判断しやすいと言えます。
注射針の針本(ハブ)の部分やパッケージにゲージごとに決まった色が割り当てられています。18Gはピンク、20Gは黄色、22Gは黒といった風に割り当てられています(詳しくは各医療機器メーカーのホームページを参照)。
注射針の違いは太さだけでしょうか。実は針先角度、針の長さにも違いがあるのです、詳しく解説していきましょう。
注射針の針先、角度の違いを表すRB・SBとは、それぞれの用途とは
注射針には針先の角度が2種類あります。
パッケージにはRBまたはSBと必ず表記されていますので、普段使用しているものがどちらか確認してみて頂きたいと思います。
2つの違いと、用途についてまとめてみました。
- RBとはレギュラーベベル、の略。針先の角度は12度。
- SBとはショートベベル、の略。針先の角度は18度。
- RBとSBでは、SBの方が鈍角である。
- 動脈静脈穿刺には、針先が鈍角なSBを使用する、血管を突き破るリスクが少ないため。
- 皮下・筋肉内穿刺は針先が鋭角はRBを使用する。疼痛が少なく穿刺がスムーズなため。
22Gでは静脈注射が難しいと判断した患者さんに、より細い針を使用しようと準備するときに、筋肉注射用の23G・RBの注射針を手に取ってしまう、というミスは状況的に起こり得ることです。
2.5ccの使い捨て注射器に23Gの注射針がすでにセットされている商品を採用しているクリニック、病院は多いと思います。これは筋肉注射用に使用する頻度が高いためです。針の種類を必ず確認しておきましょう。
注射針の長さにも規格あり、注射針の長さの確認方法とは
注射針には太さ、針先の角度ともう一つ、針の長さがあります。
注射針と同じ形状でも極端に針が長い、静脈注射以外の用途に使用する「カテラン針」についてはここでは除外します。静脈注射、筋肉注射、皮下注射で看護師が直接取り扱う針についての解説です。
針の長さはインチで表します。1インチは25mm(2.5㎝)です。点滴ボトルなどへの薬剤混入などに使用される18G注射針で一般的に使用される長さは1 1/2インチ(38mm)です。
採血に使用する22G注射針の一般的に使用される長さは1 1/4インチ(32mm)~1 1/2インチ(38mm)です。メーカーによってもサイズラインナップは異なります。
静脈注射で23G注射針を使用したい場合は、静脈注射は1 1/4インチ(32mm)~1 1/2インチ(38mm)、筋肉注射は1″(25mm)を使用します。
針の長さにも注意を払う必要がありますね。
まとめ
いかがでしたか?
注射針の選択は、針の太さだけに注目しがちですが「針の太さ・針の角度・針の長さ」の3つ全てに確認が必要です。
スムーズで安全な注射実施のための基礎知識です。ぜひ現場で活用してください。