看護必要度ってなぜ必要?ABC項目と加算点数とは
- 2017/1/7
- ノウハウ・ハウツー
看護必要度ってなぜ必要?ABC項目と加算点数とは
入院病床を持っている病院である限り、看護必要度は避けて通れません。
看護必要度は、1996年に開発され、数回の改定を経て現在のA・B・C項目方式が採用されています。
看護必要度の正確な理解の大切さ、看護必要度と連動する看護記録の一貫性は、各病院がこぞって教育に励んでいます。外部研修、eラーニングで看護必要度の勉強を推進する病院は増えています。
現場の看護師として思う事、それは「看護必要度ってすごく負担に感じる」ということです。
日々の看護業務の忙しさに加えて、看護必要度の評価を義務付けられた看護師の負担は相当なものだと思います。
看護必要度を負担に感じている看護師に読んでいただきたい記事です。
そもそも看護必要度って誰が決めたの?なぜ必要なの?
看護必要度とは、「入院患者に提供されるべき看護の必要量」です。管轄は厚生労働省です。
入院基本料は、患者一人当たりの看護師配置基準によって決定されています。看護単位は15:1、13:1、10:1、7:1といったように設定されています。
当然、看護師配置が厚いほど入院基本料は高くなり病院が受ける診療報酬は高額になるという事です。
しかし、ただ看護師を多くしさえすれば多く診療報酬を受けられるのであれば、より軽症の患者、ケアに手がかからない患者を選択的に集めれば良いという事になってしまう危険性があります。
そこで、真の看護業務量を推し量る基準として看護必要度が導入されました。例えば10:1
看護師配置基準の場合、A項目○点以上の患者が全病床数の○%以上を占める、という条件を設けているのです。
患者の重症度に応じた、適切な看護師配置を推進するために看護必要度が存在しています。
看護必要度の構成要素、A項目・B項目・C項目とは
平成 28 年度診療報酬改定によって、新たにC項目が追加されました。このことはかなり大幅な判定基準の改定と言えます。
A項目は「モニタリング及び処置」、B項目は「患者の状況」、C項目は「手術等の医学的状況」を判定する基準です。看護必要度の正確な判定には細かい判定基準があり、一定の学習が必要です。
例えば、患者の状況を判定するB項目のうち「口腔清潔」という項目があります。介助有り、介助なしの2つに分けられますが、これは単に自分で歯磨きが出来るかどうかを判定している訳ではありません。
自分で歯磨きが出来たとしても、そのためのセッティングが必要であれば「介助あり」となります。身体能力的に歯磨きができる状態でも、認知症で口腔清潔に感心が向かず、介助者が促さないとできない場合も「介助あり」となります。
このようにA項目8項目、B項目7項目、C項目7項目に細かい判定基準が設けられています。
看護必要度を負担に感じる理由を考えてみよう
診療報酬改定ごとに看護必要度の内容、判定基準が変わる
認知症患者の増加、医療安全面の強化、医療技術の進歩など医療、看護を取り巻く状況は日々変化していきます。その状況に応じて、看護必要度の内容や判断基準は変化していきます。
つまり、現場の看護師は常に看護必要度の習得と再学習が必要という事です。
看護記録と看護必要度判定に労力がかかる
日々の看護業務で多忙な看護師に追い打ちをかけるのが、看護必要度に関する記録です。
看護必要度は点数化する評価表や、各項目の特記事項を記録する用紙へのコメント記載はカルテ看護記録と別に作成することがほとんどです。
また、病棟全体でA項目○点以上の患者数」といった集計を毎日行う必要があります。看護必要度の判定と記録は、事務職員や別業種ではできません。法律で看護師の独占業務と規定されている訳ではありませんが、看護必要度の判定には、看護上のアセスメントが必須だからです。
これらの作業は看護師の、時間的・精神的な負担となっていると言えます。
看護必要度の点数と、看護の労力が一致しない
看護必要度は、本当の「看護の大変さ」と比例するよう改定されつつあります。
しかし、身体能力が比較的保たれている慢性期の認知症患者や、看護必要度の項目にない特殊な治療を受けている患者などは、実際の労力と看護必要度の点数が合わないと感じることが良くあります。
概ね、急性期治療を受けている患者の点数が高めに算定される傾向にあります。
例えば若くて意識レベルのしっかりした救急搬送患者で、輸液療法、モニタリング中の患者よりも、積極的治療をしていない徘徊する認知症患者の方が手がかかるといった事は多くあります。しかし、看護必要度は前者の方が高いのです。
このことは、こんなに大変な思いをしているのに報われない、と看護師の負担感が増大しモチベーションが低下する原因にもなります。
看護必要度を理解することで得られる利益は
看護必要度を正しく理解していない事で、実際に行っている看護が正しく点数に反映されない事は悲しい事です。
看護必要度の判定によって、診療報酬に差が出るという事は、病院の収益と職員の給料にも影響してくるという事です。負担に感じても、看護必要度を判定、記録するのは現場の看護師しかできない事です。
日々、患者を看ているからこそ分かることをしっかり看護必要度に判定させることは、看護の労力に応じた適切な人員配置を推進し、診療報酬を獲得するために不可欠なのです。
まとめ
看護必要度の判定は細かく、分かりづらいものですが入院患者を受け入れるすべての病院で避けては通れません。診療報酬改定のたびに変化する看護必要度。
負担に感じる看護師は多いのですが、内容を把握して正確な判定が出来る看護師はどこに行っても重宝されます。
継続して勉強することは大変ですが、一緒にがんばりましょう。