熟練のワザ!そつなくこなす採血の正しい手順を紹介
採血は看護師にとって必須の技術ですが、看護学生のうちに十分に練習を積んだと言う人はごく少ないのではないでしょうか。
新人のうちはなかなかうまくいかず落ち込んでしまう人も多いと思います。今回はそんな方へ向けてそつなくこなす採血の正しい手順を紹介します。
1.物品の準備
物品の準備を確実にしておくことは、慌てず効率的に採血を実施するためにとても大切です。物品の一例を示します。採血が困難なことが予想される場合は、念のため予備の針を用意しておきます。
準備物品例
- 手袋
- 駆血帯
- アルコール綿
- 針(21~23G)
- 採血ホルダー(シリンジ採血の場合はシリンジ)
- 採血スピッツ
- 止血用テープ(もしくは止血用絆創膏)
- 針捨てボックス
- 物品をいれるトレイ
2.採血の順番
採血の順番を間違うと正しい検査結果を得られないことがあります。
①真空管採血
穿刺した最初の血液には組織液が含まれており、凝固してしまう可能性があります。
生化学検査は血清で検査するために、凝固しても問題ありません。そのため、最初に採ります。
次に一定量の血液量が必要となる凝固検査、それ以降は凝固しては困るもの(血算、血糖)、一定量が必要なもの(血沈)の順で採っていきます。
②シリンジ採血
シリンジ採血の場合、凝固を防ぐために、最初に凝固検査に分注します。分注の際は溶血しないようにシリンジの先をスピッツに当て静かに分注するなどの注意が必要です。
凝固血沈 ⇒ 血算 ⇒ 血糖 ⇒ 生化学 ⇒ その他
3.採血の手順
8つの手順があります。正しく理解しましょう。
①患者さんへの説明
採血の目的、手順を説明します。。このときに、アルコール過敏症の有無を確認します。過敏症がある場合はヘキシジンなど別の消毒薬を使用します。
感染予防のため、手袋を使用しましょう。
②採血部位を決める
血管の走行を確認し、採血する血管を選びます。血管選びのポイントは①まっすぐの走行であること、②弾力があることです。
最初のうちは表面の見やすい血管を選びがちですが、よく見えていても血管がもろい、細いなど困難な場合があるので、実際に触って確認しましょう。
皮下脂肪が厚い場合は表面からは見にくい場合がありますが、やや深い位置に血管がある場合が多いです。
実際に血管に触れることで、血管の深さ、走行、動きやすさなどをイメージするようにするとよいと思います。
【原則穿刺禁忌の部位】
麻痺側
シャントがある、またはシャント造設予定部位
乳がん手術の腋窩リンパ節郭清をした側
静脈内点滴が留置してある側
疼痛がある部位(穿刺により疼痛を増強させる恐れがあるため)
③駆血帯を巻く
駆血帯を長く巻きすぎると、溶血を起こし採血結果に影響を及ぼしますので、1分以内となるようにします。
血管選びに時間がかかってしまった場合は、採血前に一度駆血帯をはずしてから、穿刺前に再度巻きなおすようにします。
皮膚に直接駆血帯を巻くと痛い場合がありますので、衣服の上から巻くようにすると丁寧です。患者さんには手をグーに握ってもらい血管を怒張させます。
④消毒する
水分をある程度絞ったアルコール綿で穿刺部を中心から円を描くように消毒します。慣れないうちは穿刺直前にもう一度血管を確かめたくなることがあると思いますが、消毒したあとは触れないようにします。
⑤穿刺する
消毒液が乾いたら穿刺をします。患者さんに声をかけ、穿刺部位の少し手前から15~20度の角度で刺入します。
このとき、片方の手でしっかりと皮膚を伸展させると血管が逃げにくくなります。穿刺したら、強い痛みや痺れがないか確認します。
⑥真空管を差し込む
採血ホルダーが動かないように穿刺している手の指の一部を固定して、スピッツを差し込みます。シリンジ採血の場合は、事前に確認しておいた必要量を採取します。
脱水傾向にある人の採血は真空管では難しいことがあります。その場合はシリンジを選択し、ゆっくりシリンジを引くようにすると、血管壁がつぶれずに採血できます。
⑦抜針する
駆血帯をはずし抜針します。穿刺部位を圧迫しある程度止血できたら、アルコール綿をテープでとめるか、止血用絆創膏を貼ります。止血は強く5分程度圧迫します。出血傾向にある人は10分ほど止血するように説明します。
⑧片付け
使用した針はリキャップせずに、そのまま針捨てボックスに捨てます。リキャップをしたために針刺し事故を起こすケースが多いので、自分のためにもこれは必ず守るようにしてください。
動画
動画もあります。
最後に
いかがでしたか?採血の上達にはある程度の経験が必要です。上手な先輩の技を盗みながら、数多く実践してみてください。必ず上手になりますよ!