昔と違う!手指衛生のキホン原則である手洗いをマスターしよう

昔と違う!手指衛生のキホン原則である手洗いをマスターしよう

手洗いは感染予防の基本ですが、十分できているという自信はありますか?

医療現場においては、用途によって様々な手洗いの方法を組み合わせており、時間や箇所も規定されています。

知っているようで知らない手洗いの基本をまとめました。

石けん・洗剤もいろいろ!

手洗いには水だけではなく石けんや洗剤、消毒薬を使います。一般的な石けんに加え、逆性石けんというものも用いられます。

普通の石けんは洗浄の働きをする界面活性力を示す部分が陰イオンですが、逆性石けんは陽イオンで、殺菌効果があります。細菌やカビなどの洗浄によく使われます。

どちらも洗浄・殺菌に使われますが、一緒に使うと効果がなくなってしまいます。

また、逆性石けんは手に有機物や油分が付いたまま使うと中和されて殺菌力が低下してしまうので、注意が必要です。

石けんの他にも、擦式手指消毒薬(擦式消毒用アルコール製剤)が用いられます。病院だけでなく、最近は公共の様々な場で見かけますね。

携帯用や家庭用にも販売されています。短時間で行えて手に優しい消毒方法として使われています。擦式手指消毒薬は、拭き取ったり流したりせず、よく擦り合せて乾かします。

手洗いの種類

医療者が行う手洗いは、主に3つに分類されています。用途で使い分けられているので、合わせて覚えましょう。

①日常手洗い

汚れ・微生物の一過性除去を目的としています。石けんと流水でこすり洗いします。10~15秒と比較的短時間ですが、指先や手首などの洗い残しやすい部分に注意しましょう。

②衛生手洗い

微生物の一過性除去に加え、殺菌を目的としています。抗菌性石けん、あるいは洗浄剤含有の消毒薬と流水で30秒程度こすり洗いします。

その後、擦式手指消毒薬で乾燥するまで擦り合せて、手指を消毒します。医療現場での無菌操作時や、処置やケアの前後に、手指消毒を目的として行います。

③手術時手洗い

手術室に入る前に行う手洗いです。常在菌を著しく減少させ、抑制効果を持続させます。

流水・洗浄剤含有の消毒薬によるもみ洗いを120秒以上行い、加えて擦式手指消毒薬で手指から肘までを消毒します。

120秒というとかなり長いように感じますが、手指に付着している濃厚な表面汚染を十分に除去するためには、長時間の洗浄と殺菌が必要です。滅菌ガウンと滅菌手袋を着用する直前に行います。

手指衛生の基本原則

3つの手洗いの使い分けに加えて覚えておきたいのが、手指衛生の基本原則です。汚れ方に応じてどのように手洗い・消毒をするかがまとめられています。

①目に見える汚れがある場合は、すぐに流水と普通石けんによる手洗い、あるいは消毒成分を含有する抗菌性石けんと流水で手指洗浄消毒をします。

著しい汚染がある場合や、その後のケアに必要があれば擦式手指消毒剤を使用して手指を消毒します。

②目に見える汚染がない場合は、基本的に擦式手指消毒剤を用いて手指消毒をします。

擦式手指消毒剤での消毒を5~6回繰り返すと手がべたつくため、流水手洗いを入れてべたつきや汚れを落とす必要があります。

③手袋着用の有無に関わらず、血液、体液、分泌物、排泄物、またはこれらに汚染された物に触れた時は、抗菌性石けんと流水で洗い流すか、擦式手指消毒剤で手指消毒をします。

④患者さんと接触する前や手袋を外した直後は擦式手指消毒剤を使います。また、同じ患者さんでも、処置やケアの間に擦式手指消毒剤を使います。これは、他の部位への考査感染防止のためです。

大まかにいえば、目に見える汚れがある時は流水と石けんで洗い流し、大部分は擦式手指消毒剤を用いて手指の衛生を保つということですね。

これらの原則に加えて、処置の時手袋を付けたら、外した後にも手洗いをすることも覚えておきましょう。

手袋の中に微生物が増殖していたり、手袋に穴が開いていたりする可能性もあります。手袋を外した時などに体液などが手に再付着することもあるので、必ずすぐに手洗いしましょう。

手肌のケアの重要性

健康な皮膚の角質表面は弱酸性に保たれています。これによって病原体の侵入や繁殖を防いでいます。

弱酸性石けんの使用は、皮膚の殺菌作用を保つために効果的です。医療従事者は頻回な手洗いや消毒により、手荒れを起こしやすくなっています。

特に手術的手洗いの時は常在菌まで洗い流すので、皮膚に大きな負担がかかりますね。手が荒れてしまうと菌が付きやすくするため、クリームなどで手荒れ対策を行うことも、感染予防として大切です。

最後に

簡単に考えがちな手洗いですが、看護師にとっては大切な衛生管理の基本です。決まりごとが多く、覚えるのが大変ですが、実践の中で身につけていきましょう。


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