脈拍の測定部位と血圧の測定の手順

脈拍の測定部位と血圧の測定の手順

一見簡単に測定できそうな脈拍や血圧ですが、手順はしっかり頭に入っていますか?手際が悪いと患者さんに無用の緊張や負担をかけてしまって、正しく測定できないこともあります。

脈拍や血圧の測定についてまとめてみました。まずは、脈拍の測定について確認していきます。

脈拍の測定

最初にリラックスするように声をかけてから、左右の橈骨動脈(手首の親指側)に人差し指・中指・薬指の先を当て、左右差・リズム・緊張度、脈の強弱などを観察します。

左右差がないことを確認後、片方の橈骨動脈で1分間の脈拍数を数えます。左右差の確認は必要に応じて行いますが、初めて測定する時は必ず確認するようにしましょう。

脈拍の主な測定部位

基本的には橈骨動脈を使います。ただし、一般に収縮期血圧が60mmHgを下回ると橈骨動脈では脈が触知できなくなってしまいます。

血圧が低く、脈が弱い人の場合は、もう少し中枢側の動脈で試してみましょう。橈骨動脈の他には、上腕動脈や腋窩動脈、大腿動脈、膝窩動脈、浅側頭動脈などが用いられます。一通り覚えておくとよさそうですね。

頻脈と徐脈

成人の基準値は毎分60~80回です。脈拍数が100回/分を超えた場合頻脈、60回/分未満を徐脈といいます。一般に体温が1℃上がると12回/分程度脈拍が増加し、血中の酸素濃度が低くても増加すると言われています。

酸素不足になると、心臓が心拍数を上げて体内に酸素を届けようとするんですね。

続いて、血圧の測定について見ていきましょう。

血圧測定の手順

最近は機械で測定することも多くなりましたが、基本の測定方法である聴診法を覚えておきましょう。

まず、患者さんの上腕を十分に露出し、心臓と同じ高さにします。健側で測定するようにしましょう。次に、上腕動脈の位置を確認してから、指が1~2本分入る程度の強さでマンシェットを巻きます。

聴診器を肘の上腕動脈の上に置き、ゴム球のポンプで患者さんの普段の血圧+20~30mmHg程度に加圧し、コロトコフ音が聞こえないことを確認します。

ゴム球のバルブを緩めて1秒に2mmHgの速度で減圧し、コロトコフ音が聞こえ始めた点を最高血圧(収縮期血圧)、コロトコフ音が聞こえなくなった点を最低血圧(拡張期血圧)とします。

血圧値の分類

血圧は低すぎてももちろん良くありませんが、多くの場合高血圧に注意します。収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上が高血圧の診断基準値です。

高血圧も、程度によってⅠ度(軽度)、Ⅱ度(中程度)、Ⅲ度(重度)に分類されます。変わったものでは、収縮期高血圧というものもあります。

収縮期の血圧は140mmHg以上になるのに、拡張期の血圧は90mmHg未満というものです。拡張期の血圧が低いなら大丈夫なのでは?と思いがちですが、意外と怖い状態です。

血管が動脈硬化で硬くなっている高齢者に多いもので、注意が必要です。

血圧の左右差

左右の腕で、血圧が違う場合があります。一般に10mmHg以下の左右差は変動の範囲内ですが、20mmHg以上の差がある場合は、血管に何らかの異常がある可能性があります。

動脈硬化や大動脈炎で動脈が閉塞していることや、先天性の動脈狭窄症、心房細動による血栓性動脈塞栓症などが考えられます。いずれも怖い状態なので、差が大きい場合は注意する必要があります。

最後に

いかがでしたか?患者さんの様子を確認するのに欠かせない、脈拍や血圧の測定についてまとめてみました。いずれも、測定前はリラックスしてもらうことが大切です。

正確に手順通り進めていくのはもちろんですが、患者さんの気持ちをほぐすような声掛けもできるといいですね。


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