
症状別の点滴の時間のめやすとは
1本500mlの点滴をどれくらいの時間をかけて輸液するかというのは、点滴の滴下数計算によって導き出すことができますが、すべての人が同じ条件とは限らないのです。
たとえば腎臓や心臓に疾患を抱えている患者様の場合には、点滴の滴下速度が変わってくることもあります。
それぞれの患者様に適した点滴をするためにも、点滴時間のめやすをご紹介いたします。
輸液の目的別速度
点滴を必要とする患者様には、おもに緊急性を伴う場合と維持を目的とする場合に分かれます。
緊急性を伴うのは、大量出血により出血性ショックなどを起こしている場合、血漿の不足分を一時的に輸液で補うことがあります。
また小児が脱水を起こした場合には緊急を要するため、体重によって、通常よりも早い滴下速度で初期輸液を行います。
維持輸液とは、失われた水分や電解質を体内に注入することを目的としていて、口から物を食べられない時の栄養補給という目的もあります。
輸液製剤には、0.9%生理食塩水や5%ブドウ糖液、リンゲル液や1号液などがあり、症状や目的によって使用する輸液が異なります。
腎臓疾患や心疾患などがない場合で、維持が目的ならば、1時間あたり100ml程度の滴下速度で点滴をしますので、500mlならば5時間くらいかけて行うことになります。
症状別の点滴時間のめやす
症状別というのは、持病や疾患などを抱えている人によって、点滴時間のめやすが異なるということです。
おもに体重や年齢によって点滴時間のめやすが決められますが、めやすとなるのは体重だけではありません。
腎機能、肝臓、心機能、内分泌異常、体液喪失などの症状が見られる場合には、注意が必要です。
これらが良好であれば、500mlの点滴を3時間くらいで落とすのがめやすとなります。若くて元気であれば、1~2時間くらいの場合もあります。
心機能が低下している場合には、食塩の含有量が少ない輸液をゆっくりと点滴する必要があります。腎機能が低下している場合には、食塩とカリウムの含有量が少ない輸液をゆっくりと点滴する必要があります。
高齢の場合には、たいてい心機能が低下していることが考えられますので、3時間以上かけて落とすと良いでしょう。
点滴時間のめやすは、年齢や基礎疾患などの有無、肝臓、腎臓、心臓などの状態によって異なりますので、輸液の種類や点滴の量、点滴時間などは、臨機応変に考える必要があります。
輸液の種類や点滴の量などは、通常、医師から指示があることが多いので、年齢や基礎疾患などの有無を確認することを忘れなければ、点滴時間のめやすを見極めることができるでしょう。
500mlの点滴で、境界となるラインは、3時間か3時間以上かということが、一般的な点滴時間のめやすとなります。
まとめ
点滴は、心臓や肝臓、腎臓などの機能が低下している人にとっては、滴下速度を間違うと大変なことになります。
それを防ぐためにも、滴下数計算は大切ですが、それ以上に患者様の現在の病状や症状を把握しておくことが何よりも重要と言えるでしょう。
