あなたは理解してる?意外と知られていない看護必要度とは?
ただでさえ忙しい看護師業務に追われる中、あまり役に立っていると思えない看護必要度の入力。
できればはぶきたい、と思っている方も多いのではないでしょうか。今回は看護必要度がなぜ必要なのか、もう一度見直してみたいと思います。
1.看護必要度とは
看護必要度とは、「患者それぞれの疾患・病態の違いに基づく看護サービスの量を評価する指標」を表し、入院患者さんの看護サービスの提供時間の割合や程度によって表すようになっている厚生労働省で定められたシステムです。
症状の落ち着いた回復期の患者さんとICUに入っている重症の患者さんでは、行う看護の量が代わってきます。
そのような患者さんの症状、重症度を考慮して、必要な看護の量により必要な看護師の人数を測定しようとしたシステムが看護必要度です。
2.平成26年度診療報酬改定
平成18年度診療報酬改定から「一般病棟用の重症度・看護必要度に係る評価表」を用いた看護必要度の評価が7対1入院基本料の要件に加わりました。
平成26年度診療報酬改定では、従来の看護必要度が「重症度、医療・看護必要度」に名称変更されたとともに、評価基準や項目が大幅に見直されました。
詳細な説明はここでは省略しますが、より医療度が高い看護サービスに対して看護必要度が高くつくようになったと考えてもらえばよいと思います。
3.看護必要度で何が変わる?
厚生労働省では適切な病院に適切な看護師数の配置ができるようにという意向のもと、改定を重ねてきています。
ここで現場で生じているのは、今までの看護必要度では7対1、10対1の看護師の配置基準が取れなくなるという問題です。
看護師の配置基準は、診療報酬の入院基本料と関わっていて、その料金は診療報酬により定められています。看護師(看護職員)の配置が多いほど入院基本料は高くなり、患者さん一人に対する看護師の人数が多くなります。
看護師1人が担当する患者さんの数が7人の場合と15人の場合を考えてもらえればわかると思いますが、手厚い看護を提供できる病院ほど高い報酬を得られる仕組みとなっています。
ところが、平成26年度の診療報酬改定で看護必要度の要件が厳しくなったことで、今までと同じ患者層でも看護師の配置基準を維持できなくなり、看護師の数が減らされる可能性がでてきました。
行わなくてはならない看護業務の量は変わらないのに、看護師の数が減らされるということは、看護の質を維持できるかという大きな問題に関わるのではないでしょうか。
看護必要度を維持するために、各病院は様々な取り組みを行っています。
5.最後に
とても大まかに看護必要度とそれに伴う影響を説明してきましたが、看護必要度の入力やそれに伴う記録に時間を取られるくらいならば、患者さんのケアをもっとしたい!そんなジレンマを抱える看護師さんも多いと思います。
看護必要度の高さと病棟業務の繁忙さは比例しないという現場の声もあります。
しかしながら、私たちの記録次第で看護必要度が変わり、私たちの働きやすさや収入、そして患者さんに還元できるサービスの量や質も変わってくると考えると、少し割り切って看護必要度の記録・入力も行えるのではないでしょうか。