胸腔ドレーン留置中のトラブル発生!緊急時にどう動くかを解説
胸腔ドレーン留置中のトラブル。想像しただけで「怖い」ですよね。急なトラブル発生時に、この記事で読んだことを思い出していただきたいと思います。
緊急対応を要するトラブルの原因は、大きく3つに分けられます。「ドレーンの脱落」「ドレナージの閉塞、回路の緩み」「排液量の急激な増加」です。
それ以外には、「感染兆候」「指示の陰圧が保てていない」等が挙げられます。
今回は、緊急処置を要するトラブルについて解説します。
胸腔ドレーンの脱落を発見、絶対そばを離れないで
ドレーンの脱落や抜去を発見したらどうしますか?ナースステーションに帰って先輩に報告?血圧計を取りに帰る?どちらもNGです。
- 絶対にそばを離れないでください
- そして、刺入部を押えて閉鎖してください
- ナースコールで応援を呼んでください
- 余裕があればバイタルサインを測定してください
刺入部を押さえることで、胸腔内への大気の流入を出来る限り予防します。
大気が流入することにより、緊張性気胸が起こります。胸腔内圧の上昇により肺は虚脱し、低酸素血症やショックが起こる危険性が高いのです。
大切なことは、そばを離れない事です。医師が刺入部の縫合処置、又はドレーンの入れ替え等の処置を行います。
ドレーンの閉塞、回路の緩み発見、すぐに報告を
閉塞や回路の緩みは、ドレナージの機能不良です。
凝血塊でのドレーン閉塞は、ミルキング等で閉塞を解除したのち胸腔内に溜まっていた排液が一気にドレーンパックに流れると、ショック等を起こす危険があります。
これらのトラブルは、継時的に「排液量の推移」「穿刺部からパックまでの状態」「エアーリークの有無」を観察していれば防げるトラブルではあります。
発見したら、バイタルサインを測定し、すぐに先輩看護師、医師に報告しましょう。
排液量の急激な増加、排液の性状とバイタルサインをチェックして
排液量のチェックは、術後急性期は1回/1時間、以上の頻度で行います。血性排液100ml/1時間、以上は要注意で、胸腔内出血の危険性がありますので直ちに医師に報告してください。
また、排液量が減少傾向だったものが、増加傾向に転じた時や、排液の性状が血性に変化した時なども報告が必要です。患者さんの全身状態、症状、バイタルサインを合わせて報告しましょう。
胸腔ドレーンの脱落により気胸を発生した一例
私が経験した一例を紹介します。心臓の弁置換術後の患者さんで、胸腔ドレーンを装着していましたが、トイレ歩行は可能な状態に回復していました。
トイレから向かってくる姿がなんとなくしんどそうです。え?と声を掛けようとしたとき、「しんどい」と倒れてしまったのです。
胸腔ドレーンの位置がずれていましたが、抜去まではしていませんでした。直ちにドクターコールをし対応しました。
原因は、ドレーンが引っ張られ位置が変わって気胸を起こしていたのです。
ドレーンチューブは先端に空洞があるものだけではなく、サイドにスリット状に切れ目が入っている物もあります。完全に抜去されていなくてもこのスリット部分が体外に出てしまえば気胸を起こしてしまうのです。
ドレーンの確実な固定と、留置されているドレーンの形状も良く把握しておく必要がありますね。
まとめ
いかがでしたか?
今回は特に緊急を要する場合「どう動くか」を解説しました。胸腔ドレーンは管理、観察のポイントがたくさんあって難しく感じると思いますが、いざというときにどう動くかを考えておくことはとても重要ですよ。
自信を持って看護が出来るよう、常にシュミレーションしておきましょう。