准看護師(先輩)の指示を正看護師(後輩)は受けるべき?

古株の准看護師の指示は受けるべき?正看護師と准看護師の気になる関係性

法律上、准看護師は医師、看護師の指示を受けて必要な処置、措置を行う、ということは周知の事実です。では、准看護師は正看護師より立場が下、ということなのでしょうか?

現場は、必ずしもそうとは言えません。クリニック、中小の病院、療養病棟などは、准看護師の割合が高く、業務内容に区別が無い所も多いものです。中には、准看護師が師長、主任という組織も少なくありません。ベテランの准看護師と正看護師の関係性について、現場の声を元に考えていきましょう。

准看護師が師長、主任、教育係を担当することは問題ないのか

看護師のお悩み相談などで、必ず話題に上るのが「准看護師の師長に指導されるのが嫌だ」「教育係として担当してくれる先輩が准看護師で微妙」といった内容です。

法律上の規定では、准看護師は医師、看護師の指示を受けて必要な処置、措置を行う、となっていますが、これはあくまでも患者の療養上の世話に関してのことです。業務上の事について、准看護師が正看護師に指示してはいけない、などという取り決めはありませんので正看護師が准看護師の指導を受けることは、もちろん違法ではありません。

准看護師だから、管理能力が劣っている、というのは偏見です。准看護師であっても人材を教育する力、管理能力にたけており、人となりが優れていれば何ら問題ないでしょう。

古株の准看護師が仕切るクリニック、関係性に悩む正看護師の声

看護師5年目で、総合病院を退職し、結婚を機に自宅近くのクリニックで働き始めた正看護師のAさん。「毎日が驚きの連続です、退職しようか迷っています」と話しています。

クリニックでは3人の准看護師さんと、自分の4人が看護師として業務に当たっているそうです。また、年齢層も高く、60代が2人、50代が1人で、まだ20代の自分とは考え方、話題にもギャップがあるようです。

物品の消毒洗浄方法、清潔不潔の考え方も「いったい何年前の事を言っているの?」と驚くことが多いそうです。鑷子立てに水を入れておく方法について「今はそういったやり方は逆に不潔になってしまうので止めませんか」と提案したところ「新入りのくせに生意気」「正看護師だからって鼻にかけている」と総攻撃を受けたそうです。

准看護師に先輩として、業務を教えてもらう分にはいいのですが、明らかに現代看護のエビデンスに反することに関しては、受け入れられないのは当たり前と言えますね。

准看護師の師長が作る勤務表、反発する正看護師たち

准看護師のBさんは、とある病院開業以来勤務する勤続25年のベテランです。

開業当初より、ほとんど全員が准看護師という状態の中で、何とか管理業務と実務をこなしながら頑張って来ました。正看護師の免許を取るために進学したいと思った時期もありましたが、現場の状況を考えれば休むこともままならず「気が付けば25年も経っていました」とのことです。

少しずつ病院の規模が拡大し、病床を拡大できるようになり、看護師を大幅に増員することになりました。昔から共に頑張ってきた仲間と「やってきたかいがあった」と喜び合ったと言います。

そこで、正看護師の経験者を数人採用したところ、たちまち問題が起こってしまったそうです。病院長に対し「正看護師の自分たちが准看護師の師長の下で働くのはおかしい、勤務表を作っているのもおかしい」と直談判されたそうです。

仕事上でなんの落ち度も無いにも関わらず、「准看護師だから」と否定されてとても傷つき、落ち込んだそうです。このように、その人の能力や功績を知らずに、一方的に准看護師を否定する態度にも問題がありそうです。

療養上の世話、に関すること以外は看護師の独占業務ではない

今までの例から分かることは、なんでもかんでも「看護師の方が上」という考えは間違っている、と言えます。また、准看護師も新しい知識を獲得しながら、努力していく必要がある。とも言えます。

単に「准看護師だから」と人格まで否定することはあってはならないことです。しかし、准看護師は正看護師のもつ資格と知識に配慮しなければ、良好な関係は得られません。

結局は、看護師のライセンス違いによる問題ではなく、当事者同士の「認め合う力」にかかっていると言えるでしょう。

正看護師には、准看護師にもいろんなタイプの人がいると知って欲しい

准看護師でいる人にも様々なタイプがあります。

Bさんのように、現場経験が長く管理能力にも長けているベテラン。社会人経験があり、ある程度の年齢になってから准看護師を取得したタイプ。正看護師の国家試験に合格しなかったため准看護師の試験を受け、准看護師となったタイプ、など様々です。

正看護師も「准看護師は私たちの指示を受けるべき」という先入観にとらわれず、准看護師の経験も様々であり、経験や適性に応じた役割を与えられるべきと思っていただきたいですね。

正看護師は古株の准看護師の指示は受けるべき?に対する答えは、看護師として指示を受けることが適当であり、倫理的にも問題ないと判断したことに関しては「受けるべき」と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

看護師の皆さんには、看護業界の人材不足、社会人から医療職を目指す人の増大などから、何と准看護師養成学校は新設されているという事実を知っていただきたいと思います。

患者様、利用者様の中には、「カンゴシサン」が正看護師でも准看護師でも何ら問題ないという方がたくさんいます。准看護師は正看護師の資格と知識に配慮し、正看護師は准看護師の人間性と経験に配慮する。これは看護の現場を良くするため必要なことと言えますね。


ピックアップ記事

  1. 【彼氏が欲しい看護師必見】出会いがない私が彼氏を作った方法

    突然ですが、3日前に結婚式を済ませた看護師(29歳)です。30歳までにぎりぎり結婚できました! …
  2. 看護師の結婚事情!コ・メディカルとの結婚メリットとデメリット

    看護師の結婚事情!コ・メディカルとの結婚メリットとデメリット 看護師や医療職以外でも、いわゆる…
  3. ロキソニンは看護師の常備薬!しかし薬に依存しないために気を付けたいこと

    ロキソニンは看護師の常備薬!しかし薬に依存しないために気を付けたいこと 医師が処方した薬が正し…
  4. 頚椎ソフトカラーの正しい装着方法と注意点についても解説

    ソフトカラーの装着方法!注意点と観察点についても解説 ソフトカラーとは急性期の術後などのハード…
  5. イジメ、パワハラで退職に追い込まれそうな看護師へ

    イジメ、パワハラで退職に追い込まれそうな看護師へ 看護師の退職理由、ダントツの一位は「人間関係…

ピックアップ記事

  1. 実習指導者が困る場面、看護学生の実習に協力してくれない患者さんへの対策とは 看護学生の実習指導…
  2. 三方活栓を使用しない末梢静脈路閉鎖式システムのメリットとは 患者さんの治療には欠かせない点滴、…
  3. 看護師が自己血糖測定の指導で困っていることと指導のポイント 糖尿病患者さんに、自宅での自己血糖…
  4. 2次救命処置ACLSの資格とは?看護師には有用な資格! 患者さんの急変処置に遭遇した時に、スム…
  5. 看護学生が実習でストレスと感じる場面まとめ 看護学生にとって自習は、緊張の連続でストレスに満ち…

新着記事

ランダム記事

ページ上部へ戻る