熱傷指数の面積計算がポイント!火傷の重症度による対処方法
熱傷は深さや面積によって対処法が異なります。重症の場合は命に関わる感染症や多臓器障害につながるため、すばやく重症度を判断する必要があります。ここでは、熱傷の深さによる分類や重症度の判別などについてまとめてみました。
熱傷の分類
熱傷は深さの分類でI度からⅢ度に分けられます。
Ⅰ度は比較的浅い、表皮の熱傷です。赤くなり、痛みも強いですが、治療後に痕は残りません。Ⅱ度は中程度で、真皮に達して水泡ができます。
真皮の中でも浅い方だと痕は残りませんが、真皮深くに達した時は痕が残ります。強い痛みを感じます。Ⅲ度は皮下組織まで達した重症の熱傷です。
この深さになると痛みを感じなくなります。Ⅲ度熱傷では、直径5cm以上になると壊死した組織を取り除き、植皮手術をしないと治癒しません。
そのため、Ⅱ度とⅢ度の鑑別はとても重要です。また、熱傷自体はⅡ度でも深部に感染が起こるとⅢ度に移行し、手術が必要になることもあり、経過観察が必要です。
熱傷を負った直後の患者さんはパニックになっていて痛みを忘れてしまうことも多くありますが、時間がたってある程度落ち着くと、強烈な痛みを感じるようになります。
できるだけ患者さんの苦痛を取り除けるよう、医師と相談して対応していきましょう。熱傷を目の当たりにして強い不安を感じられる方も多いので、精神的なケアも忘れないようにしたいですね。
熱傷指数
深さの分類に加えて、重症度を知るための指標として「熱傷指数」というものがあります。「熱傷指数=Ⅱ度熱傷面積(%)×1/2+Ⅲ度熱傷面積(%)」で表されます。
この熱傷指数が10~15以上であれば重症とみなし、全身管理が必要と判断されます。例えばⅡ度熱傷が20%、Ⅲ度熱傷が10%という患者さんの場合、20×1/2+10で20となり、重症にあたるので早急に手術などの対処を行います。
熱傷の面積計算
熱傷の面積を判断することは、その後の治療の方針にも関わるので、とても重要です。できるだけ早く判断できるように、「9の法則」「5の法則」と呼ばれる法則が使われています。
9の法則とは、成人の熱傷を判断する時に使われているもので、体のそれぞれの部分が9%またはその倍の18%にあたるとして簡略化し、面積を概算するものです。
頭や腕はそれぞれ9%、脚は全体で36%、胸部左右でそれぞれ9%、陰部が1%というふうに大まかに計算できます。
これに対し、5の法則は小児の熱傷面積の判断に使います。小児は成人に比べて頭が大きく手足が短いので、割合が異なるため、別の計算方法が必要になります。
頭が15%、腕が10%、脚が15%、胴体の前面が20%で背中側が15%というふうに、5の倍数で表していきます。
熱傷の面積が小さい場合に簡易的に用いられるのが「手掌法」という方法です。手のひらを1%として算定します。
最後に
いかがでしたか?熱傷の患者さんの重症度を判断するために必要な知識についてまとめてみました。9の法則や5の法則、手掌法などを使うと熱傷の面積をすばやく判断することができるので、しっかりと覚えておきたいですね。