病院では、車椅子を使う機会が多いかと思います。単に病院内を移動する場合にも使いますし、散歩をするようなこともありますね。
寝ていることが多い患者さんにとっては大切な気分転換になります。でも、使い方を誤ると、患者さんに負担を掛けたり事故の原因になったりすることも。
体の不自由な患者さんが安心して利用できるように、移送時の注意点やポイントをまとめてみました。
車椅子の置き方
車椅子を利用する患者さんの多くは、体が思うように動かせない状態にあります。動かせる部分をできるだけ使えるようにサポートすることが重要です。
例えば、体の右側に麻痺がある患者さんの場合、どこに車椅子を置けばよいか考えてみましょう。
ベッドに寝ている状態から車椅子に座ろうとする時、自由に使える左側に車椅子があれば、ベッド上をそちらに移動しやすいですね。
ベッドの端に座っている状態からでも、自分の手でつかめるように、健側である左側にあった方が、患者さんもサポートする看護師も楽になります。健側を軸足にして立つこともできますね。
移動方法によって車椅子の置き方を考えることも必要です。
例えば、長坐位から上肢を使って移動する時などは、車椅子をベッドに平行になるようにぴったりと置くと移動しやすくなります。ベッドの端に座っている時だと、ベッドに対して30~45度の角度で置いてあるといいですね。
また、高さも重要です。ベッドの高さと車椅子の座面の高さを同じにすると移動しやすくなります。
安全のため、乗車の時は必ず両側のストッパーを止めます。フットレストを上げてしっかり座ってからフットレストに足を乗せましょう。
車椅子での移送の注意点
①深く座ってもらいます。座り方が浅いと座面からずり落ちることがあります。
②原則前方向に進ませます。
③下り坂では後ろ向きで、介助者は振り向きながらゆっくり下ります。前向きだと患者さんが前にずり落ちそうになり、スピードのコントロールも難しいです。患者さんも怖く感じるので、後ろ向きで下るようにしましょう。
④大車輪は浮かせないように注意します。転落の危険があり、患者さんに恐怖心を与えてしまいます。
⑤段差がある場合は、事前に患者さんに声をかけてから、ティッピングレバーに片足をかけてグリップを手前に引くようにしながらゆっくり踏み込み、前輪部を浮かせて段上に静かに前輪を乗せます。
⑥視線が下がると歩行時よりも速度を感じるため、ゆっくり進みます。
⑦停車中は毎回必ずブレーキがかかっていることを確認します。
⑧掛物などで温度を調節します。移送中も、患者さんの状態に常に気を配って、声をかけることが大切です。
最後に
いかがでしたか?車椅子の乗り降りや、移送中の注意点についてまとめてみました。
乗り降りの際は、患者さんの状態に合わせ、できるだけ患者さんにも動いてもらうことで、サポートしやすくなりますし、患者さんの体にとってもいい刺激になります。
車椅子での移送の際は、転倒・転落の危険がないように、そしてできるだけ患者さんの安心・安楽を保ちながら操作するように心がけましょう。