ハローブレース(頚椎脱臼、頚椎損傷、頚椎骨折)についての注意点や観察方法
ハローブレースとは主に頚椎脱臼、頚椎損傷、頚椎骨折など脊髄の障害、脊椎損傷(前方固定術術後など)、重度の胸椎・ 腰椎脱臼の整復保持、重度の脊椎変形の改善、上位頚椎の外傷など重度の患者さんに装具しますのでかなり慎重です。
装具した患者さんの状態を見ると痛々しさを感じます。そこで、ここではハローブレースについて注意点と観察点を解説していきます。
ハローブレースを装着後の注意点
ほぼ上半身全体に装具されています。かなりの重症患者さんなので、慎重な対応と観察が必要です。まずは、バイタルサインの確認からしていきましょう。呼吸は正常なのか?血圧の数値など様々なチェックが必要です。
装具の確認
頭部装着状態は正常に装着されているのかどうかです。頭部の装着装具のネジの緩みやズレが発生していないかどうなのか?頭部の締め付けはどうなのか?患者さんの顔の引きつりや眉のズレ、ピンの緩みなどを確認していきます。
まず、ズレが生じ長期に牽引が緩んでしまうと知覚・運動障害、四肢の脱力やしびれ(脊髄麻痺症状)、頚部痛(頚椎脱臼)が起こる可能性がありますので発見次第医師への報告が必要です。
締め付け過ぎの痺れや頭痛、胸部の吐き気や浅呼吸など締め付ける事によって障害が無いかの確認を行いましょう。
頭部の注意点は、締め付け過ぎによる惹きつけや圧迫感の有無が挙げられます。
肩のバンドの締め付けが強い場合は胸部の圧迫による浅呼吸などが挙げられます。
腹部のバンドが強く締められていると嘔吐や吐き気など消化器症状などへ影響が出て来ますので注意が必要です。
ベストのズレの確認です。ベストも同じくズレや緩みがある場合は頭部と同じくズレがある時は、医師に相談しながら行いましょう(重症患者さんなので安易な考えでは無く慎重に行いましょう)。
※外れたり、締め付けが必要の場合は医師に相談しましょう。看護師が1人で装着や奪着を行う行為はやめましょう、正常に装着されていないと病状の悪化に繋がります。
又、装着している部分が皮膚に接触し発赤、腫脹していないかどうか、もしくは出血、浸出液が出ていないかどうか、などの皮膚障害が起っていないかどうかの確認が必要になりますので感染症には充分注意が必要です。
ハローブレース装着時の患者さんのケア
装着時には、身体の自由が大きく奪われますので患者さんのストレスを感じる所はかなり多くなります。
行動や可動の制限はもちろん、視界の制限や、寝返りやチョットの動き全て固定されていますので精神的ストレスがかなり増えてきますので、睡眠中は寝返りを打ちたくてずらしていないかどうか?食事の時の台やテレビは患者さんに適正な位置に整備出来ているかどうかなどの環境整備が必要になってきます。
患者さんの体は常に牽引されてる状態なので相当のストレスを感じていますので少しでも患者さんに負担のかからない解消法を医師と相談の上に行っていきましょう。
まとめ
ハローブレース装着の患者さんは慎重に看護を行い心のケアが必要になります。装具の調整は看護師では出来ませんので必ず医師と相談の上行うようにしましょう。
患者さんは装着している時点で相当なストレスを感じています。通常では、リハビリでしか行わない牽引を常にした状態でいますので見える治療も重要ですが見えない心のケアも実際の現場では必要になります。
1日でも早い離床を目指し患者さんと共に頑張りましょう!