退院時看護サマリー(看護要約)の書き方のポイントと素早く書くコツ

退院時看護サマリー(看護要約)の書き方のポイントと素早く書くコツ

医療保険でカバーされる入院日数はどんどん短縮され、病院同士の連携、病院在宅の連携、病院施設の連携で適切な場所に患者さんを紹介しあう体制が重要になっています。そして、何よりもスピード感が求められる時代になってきました。

例えば、治療・手術目的で急性期病院に入院した患者さんが、創傷処置継続が必要な状態(完全に創が治っていない状態)で在宅復帰する。訪問看護を受けている患者さんの状態が悪化し、救急搬送され病院に入院する。このような出来事は日常茶飯事です。

必ず必要となるのが、看護サマリー(看護要約)です。急な転院、退院、入院(在宅や施設から)になった患者さんの看護サマリー、サッと書き上げるのは至難の業ですね。

この記事では、看護サマリーを素早く書き上げるためのポイントを伝授します、ぜひ参考にしてください。

看護サマリーを素早く書き上げる必要性とは

看護サマリーは、患者さんの状態と経過、継続する処置、看護上の問題点、ケアの注意事項などを担当看護師から、受け入れ先のすべての業種に伝達する重要な記録です。

担当看護師としては、患者さんのカルテを見直しながらじっくり時間を取って書きたいですよね。

しかし、急な転院、退院、入院が決まった時点で「今すぐ看護サマリー書いて!何時までに出来そうなの?」と上司や先輩看護師に急かされて焦りまくるのが現実です。

受け入れ予定の施設から、事前に郵送・FAXで看護サマリーを送り情報提供を求められることも少なくありません。医師の診療情報提供書と、看護サマリーの両方の内容を確認してから受け入れを決定する施設もあります。

患者さんを適切な場所に、より早く送るために看護サマリーは素早く書き上げる必要があります。

看護サマリー、受け入れ先が知りたい情報を想像してみよう

ちょっと想像してみて下さい。自分が受け入れ先の看護師だったらどうでしょうか。入院受け入れと同時に「この患者さんはどんな人?」アセスメントには情報が必要です。

あなたは消化器内科病棟看護師だったと仮定します。

ある患者さんの緊急入院を受け入れることになりました、80才、脳梗塞後の麻痺があり、訪問看護師、家族、介護ヘルパーで介護を担当していると聞いています。自宅で吐血し緊急搬送、緊急内視鏡検査で出血性胃潰瘍が認められ、内視鏡で止血してからそのまま入院となりました。

さて、ここで問題です。

  • もともとどの程度まで動ける身体能力があるのか
  • 認知力に問題はないのか、話していることが十分に理解できるか
  • 排泄方法はトイレ、尿瓶、オムツのどれか
  • 脳梗塞後の麻痺の程度は
  • 危険行動や暴力行為はないのか
  • 家族の介護力はどの程度か

上記は一例です、知りたい情報は他にもたくさんあります。

患者さんの全体像を知り、看護を実践するために受け入れ先が「知りたい事」を想像してサマリーを書くことが重要です。

看護サマリーを読むのは他職種!分かりやすい言葉で書こう

看護サマリーを読むのは、受け入れ先の看護師だけ。と思っていませんか?

受け入れ先の入院調整をする担当事務、ケアマネージャー、施設介護士、理学療法士など他職種が看護サマリーから情報を得ていることを忘れないでください。ヨコモジの医療用語、難しい看護用語、病院独自の略語は通用しないもの、と認識して下さい。

特にケアマネージャーは、介護ヘルパー出身の方や病院での勤務経験が無い方が多くなっていますので、病院での経過は十分理解してもらえるよう分かりやすい表現、言葉で看護サマリーを書き上げましょう。

看護サマリー、医師の診療情報提供書と内容がダブらないようにしよう

看護サマリー作成に慣れていない看護師が陥りやすいミスです。

それは、看護サマリーに患者さんの治療経過をダラダラ書くことです。

○月○日にどんな検査をして、結果がどうだったか。○月○日にどんな手術をして経過がどうだったか、というような事を長々と記録された看護サマリーは珍しくありません。

受け入れる側としては「医者の診療情報提供書で分かっている、看護に必要なことがまとまっていない」と思うわけです。せっかく苦労して書き上げた看護サマリーが、受け入れ側と患者さんにとって有益な内容になっていないと悲しいですね。

あくまでも「看護に必要な情報」をスマートにまとめることが必要です。

必見、看護サマリーを素早く書き上げるコツとは

受け入れ側の立場になって考える、分かりやすい言葉で、無駄な情報は省く、これらの事を踏まえて看護サマリーを素早く書くコツは以下の通りです。

  • 患者さんの全体像がイメージできるように書く
  • 略語、ヨコモジの医療用語は避ける
  • 患者さんの今の状態を中心に書く
  • 食事、排泄、移動で介助が必要な内容は出来る限り詳細に書く
  • 一緒に提出される医師の診療情報提供書を読み、重複する内容は割愛する
  • 継続看護を依頼したい事は詳細に書く

上記を意識すれば、看護サマリーは正確に、素早く書き上げることが出来るでしょう。

どんな時も大切なこと、それは受け取り手と患者さんの事を最優先に考えることです。ダラダラと長い、ミニドクターのような看護サマリーは、必要とされないと思ってください。

細かく入院中の経過を書いて、自己満足している看護サマリーは後に電話で患者さんの状態確認の電話がかかってくるという残念な結果になりがちです。

優秀な医師の診療情報提供書は、スマートに必要な情報がまとまっています。看護師も同じだと思いませんか?

まとめ

看護サマリーは病院同士の連携、病院在宅の連携、病院施設の連携に欠かせない大切な書類です。

書くことに慣れていない看護師は「何を書いたらいいか分からない」「時間がかかる」と大変苦労しますが、ポイントを押えて書くことで、正確、有益、素早い看護サマリーが書けるようになってきます。


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