アルブミンの基準値と高い時と低い時に引き起こす病気まとめ
アルブミンについてはこちらにもまとめましたので参考にしてください。
看護師が知って得する血清アルブミン値の臨床的意義とは
ちなみにアルブミンの基準値についてはこちらも詳しく書きました。
看護師に知ってほしい!アルブミンの基準値と高齢者の低栄養状態PEM
アルブミンは栄養状態を示す重要な検査値です。今回はアルブミンの基準値と高値、低値のときに疑われる病気をご紹介します。
1.アルブミンとは?基準値は?
血清アルブミンは血清中のアルブミンの値です。アルブミンは食事で摂取したタンパク質が消化管でアミノ酸に消化・吸収され、門脈を経由して肝臓に運ばれたあと、肝臓で合成され血中に入ります。
一方、アルブミンが血管外に出ていく要因としては、体組織に吸収されたり、尿や出血で体外へ排出されたり、胸水や腹水に漏出するなどがあります。また、異化更新により血管内で消費されることもあります。
血清アルブミン | 基準値 | 3.8~5.3 g/dl |
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2.高いとき
血清アルブミン値が高くなるのは、脱水により血管内の水分が減少し濃縮状態にあるときです。
アルブミン値が高値となるときは、尿素窒素(UN)、Na、Clなど脱水を示す値が合わせて高値となることが多いです。
血清アルブミン値が高値のときはこれらの検査値を合わせて見るとともに、口渇、頭痛、嘔気、全身倦怠感の症状が出現していないか確認しましょう。
3.低いとき
血清アルブミン値が低値の原因は主に4つに分けられます。
- ①タンパク質摂取不足
- ②タンパク質合成障害
- ③タンパクの異化亢進
- ④タンパクの体外喪失
どの原因にあたるかは、他の検査値も合わせて考えていく必要があります。
①は食事が摂れないなどの原因でタンパク質摂取不足となっている場合です。このときには鉄分の摂取不足にもなり貧血を併発している可能性があります。
タンパク質摂取不足となるのは、食事が摂れないだけでなく消化吸収障害があることもあります。
②は肝機能が低下し、肝臓でタンパク質が合成されにくくなっていることが原因です。同じく肝臓で合成されるコリンエステラーゼ(ChE)や総コレステロール(TC)も低下します。
肝機能障害がある場合は、その他血小板(PLT)の低下やALT、ビリルビンの上昇なども同時におこります。病態としては肝硬変、劇症肝炎などが考えられます。
③は悪性腫瘍、手術、外相、熱傷などで炎症があり侵襲に対する異化亢進が起こっている場合で、炎症の指標であるCRPが上がっていることが特徴です。
④は尿や出血によりタンパク質が体外に喪失していることが原因です。腎臓から尿中への喪失は尿タンパクの有無を確認することでわかります。
尿中に大量のタンパク質た漏出している場合はネフローゼ症候群などが疑われます。
熱傷の場合は皮膚から多くの水分が喪失するため、高ナトリウム血症となっている場合は皮膚からタンパク質が喪失していることが考えられます。
大量出血となっている場合は、同時にHbが低下します。
最後に
いかがでしたか?アルブミンは全身の栄養状態を表す重要な指標です。他の検査値、全身状態と合わせて病態を考えられるといいですね。