ストーマ(人工肛門)の種類や管理方法と注意点
ストーマとは手術で病巣を摘出したあと、腸管や尿管の一部を体外へ出して造設した開放孔のことを言います。
今回はストーマのうち消化管ストーマ(人工肛門)の種類とその管理方法と注意点について紹介します。
1.消化管ストーマの種類
おおきく2つあります。それぞれ整理していきましょう。
①部位による種類
消化管ストーマは造設する部位・臓器によっていくつかに分けられます。
消化管は胃‐十二指腸‐小腸(空腸‐回腸)‐大腸(上行結腸‐横行結腸‐下行結腸‐S状結腸‐直腸)‐肛門とつながっていますが、回腸に造設するストーマを回腸ストーマ(イレストミー)、結腸に造設するストーマを結腸ストーマ(コロストミー)と分類しています。
造設する部位によって排泄される便の量や性状が異なります。
■回腸ストーマ(イレオストミー)
便の性状は泥状~水様で、便に消化酵素を多く含むため、便が皮膚に接触すると皮膚障害をおこしやすくなります。
■結腸ストーマ(コロストミー)
便の性状は有形で、ストーマが肛門に近いほうが便の水分量が少なく小腸に少ないほうが便の水分量が多く便の量が増えます。肛門に近いストーマの場合は便の性状が固いため洗腸が必要なこともあります。
②孔の数による種類
手術により肛門側の腸管を完全に切除した場合に造設されるのが孔がひとつの単孔式のストーマで、永久的なストーマとなります。
一方、便を長期間遮断することで腸管が回復できると予想される場合は、腸管ループを引き出し口側と肛門側のふたつの孔をつくる双孔式のストーマが作られることがあります。
双孔式の場合は肛門が温存されていますので、将来的にはストーマを閉じられる可能性があります。
2.ストーマの管理方法
ストーマには括約筋がないため、排泄をコントロールすることができません。
そのため、開放孔にストーマ装具をつけ排泄物の処理を行うことになります。ストーマ装具は皮膚保護材である面板と便を受け止める袋とでできています。
面板と袋が一体になったものをワンピース型、別々になったものをツーピース型と言います。
袋に排泄物が貯まったらその都度袋の排泄口からトイレに流します。ストーマの孔が口側に近い方が排泄物の量が多くなるため、袋が溜まりやすくなります。
面板は週に2~3回交換します。どのような装具が使い勝手がいいかは、体型や排泄物の性状、ストーマの形、ライフスタイルによっても異なりますので、皮膚・排泄ケア認定看護師などの専門家に相談するとよいでしょう。
正常なストーマは赤~ピンク色をしており、ストーマ周囲の皮膚にもトラブルがありません。ストーマのトラブルで一番多いものは皮膚障害です。
排泄物と皮膚が接触することや面板の剥離刺激によりにより発赤、びらん、潰瘍を生じてしまいます。排泄物と皮膚が接触しないように、面板のストーマ孔とストーマのサイズを合わせ、装具交換の際には剥離剤などを使用し愛護的に交換するようにします。
3.こんなときは病院へ
ストーマの色が悪い(暗赤色、黒色など)、浮腫が見られる、ストーマ周囲に慢性的な皮膚障害がある、下痢や腹痛が続く、いつもと違う性状やにおいの便が長く続く、血便が混じるなどの場合は早めに受診するように説明しましょう。
特に早期合併症としてストーマの浮腫は高頻度で見られます。ストーマの基部が圧迫されすぎないように面板のストーマ孔の大きさに注意するとともに、患者さんにも観察のポイントを伝えましょう。
最後に
いかがでしたか?ストーマは慣れれば入浴や外出なども含めて手術前と同じような生活ができるようになります。
しかし一方で、造設すると外見も変わり、排泄という羞恥心の強い領域のため精神的なサポートも非常に重要になります。
患者さんがストーマとともにうまく生活できるよう支えていきたいですね。