触診や打診で抑えておくべき3つのポイントを解説
触診とは、手で患者さんに直接触れて、湿度、大きさ、硬さ、しこりの有無、運動性など、皮膚や身体内部の形態や機能を観察する診察法です。
打診は患者さんの体を軽く叩くことで感触や反応を見る診察法です。
いずれも患者さんの様子を見るのに有効な方法ですが、無理に痛いところを触ったり叩いたりしてしまうと患者さんに負担がかかるだけでなく、観察もしにくくなってしまいます。
触診と打診のコツや、実際の流れを見てみましょう。
触診の手順
患者さんに楽で触診のしやすい姿勢になってもらい、痛みの強い部分は最初は避けて触っていきます。
具合が悪い時に、痛い部分をいきなり押されてしまうと辛いですよね。痛みの強い部分を最初に強く押されてしまうと、周囲まで痛く感じてしまい、その後の触診所見も不明瞭になってしまいます。
視診や聴診など、他の診察法と組み合わせて行う時は、視診>聴診>打診>触診というふうに患者さんの体への負担が小さい順に行います。これも後の診察に影響が少なくなるようにするためです。
触診で音を確認する
触診では感触だけでなく、音を感じることもあります。
声音振盪の触診といって、手の尺側部や関節部を胸郭の上に置いて、患者さんに「ひとつ、ひとつ…」と発声してもらい、手に感じる振動の強弱を左右で比較する触診法です。
例えば肺気腫や気胸がある場合は振動が弱くなり、肺炎などで肺の中の水分が増えていると振動が強くなります。手の尺側部や関節部を使うのは、骨に近く振動を感じやすいためです。
打診とは
打診は、体表面を軽く叩いて起こる振動を観察し、体内部の状況を推定する方法です。
打診により、含気状態、体液貯留、臓器の位置関係、密度、腫瘍の存在などの情報が得られます。
視診、聴診の結果から、重点的に打診する部位を決めます。片方の手の指を体表面に密着させ、もう一方の手でその上を叩きます。
叩く手は、手首のスナップを効かせ、手関節だけを動かすようにします。叩いた後は素早く離します。強くしすぎないように注意しましょう。
例:右下腹部が痛い場合
実際に、イメージトレーニングしてみましょう。触診の前に、視診や聴診を先に済ませておきます。
腹部の痛みを訴えている患者さんの場合、ベッド上で膝を軽く曲げて立ててもらいます。膝を曲げてもらうことで腹筋が緩み、触診しやすくなります。
最初は反対側や上側など周囲を浅く押さえ、次第に深い所へと移るようにします。痛みの強い右下腹部への触診は最後に行います。
周囲から触診していくことで、患部に触った時の痛みも軽く感じられるようになります。
患者さんの様子をよく観察し、表情の変化なども見落とさないようにしましょう。
最後に
いかがでしたか?触診や打診についてまとめてみました。これらの診察法は患者さんの体に直接影響を与えるので、無用の負担がかからないように細心の注意をする必要があります。
患者さんが緊張して体が堅くなっていると診察がしにくいだけでなく余計痛くなってしまうので、気持ちをほぐせるように声掛けができるといいですね。