看護師のバイブルとも言える看護診断のマニュアルとは
患者さんの問題点を挙げていき、看護問題としてまとめる際、看護師は病院内で指定された看護診断用のマニュアルを用いています。
このマニュアルとはどのようなものか、何のために必要なのかまとめてみました。
NANDAとは
病院内では「NANDA」という言葉がよく聞かれます。NANDAとは、看護問題となるものの共通語集をまとめる団体の一つです。
北米看護診断協会の略称で、2年に一度看護学の研究者や看護師達が集まって会議を行い、看護問題となるものを挙げて世界で共通する呼び名をつけていく議論が行われています。
この呼び名のリストは『NANDA看護診断 定義と分類』という冊子にまとめられ、2年ごとに改訂されています。
NANDAの他にも、『ゴードン博士の看護診断アセスメント指針』『カルペニート 看護診断マニュアル』などが有名です。施設独自のマニュアルを開発している所もあります。
看護診断用のマニュアルの重要性
なぜそのような会議や冊子が必要になるのでしょうか。
患者さんの症状に対して、看護師たちが自分の言葉で問題を書き表して看護診断名を付けると、同じ問題でも人によって違う用語で表現することが考えられますね。
また、その病棟の中で共通の呼び方をするようにしていても、他の病棟や他の施設、他職種との間で共通の理解がしにくく、誤解やトラブルの原因になってしまいます。
そのため、同じ根拠に対しては全く同じ診断名が付くという普遍性が必要になります。
看護診断用のマニュアルを使うことで、看護診断の際に共通の表現を使えるので、医療従事者の間で混乱なく患者さんの問題点を共有することができます。
看護診断と優先順位
問診や各種検査の結果列挙した患者さんの問題点を、看護診断用マニュアルの呼び方に従って分類していきます。
問題点「咳で息苦しい」「黄色い痰が出る」「動いたとき息苦しい」→看護診断名「ガス交換障害」というふうに、複数の問題点を一つの看護診断名にまとめられることもあり、分類する過程の中で患者さんの状況や対策をより正確に考えられるようになります。
看護問題を挙げていく時、たいていの場合問題は一つだけではなく複数になるので、優先順位の高い順に#(ナンバー)をつけていきます。
まず優先するのは、命に関わる問題です。「ガス交換障害」「高体温」などがこれにあたります。次に、患者さんの生活面で危険に繋がる「誤嚥リスク状態」「転倒・転落リスク状態」などを挙げます。
最後に「更衣/整容セルフケア不足」などの危険にはつながらないが日常生活をするうえで困ることを挙げるという順番になります。
優先度は患者さんの状態の変化に応じて評価し、必要があれば変更していきます。ただし、ナンバーを途中で変更すると過去の記録内容と合わなくなってしまうため、そのまま使います。
途中で問題解決したりして削除した場合は欠番とします。
最後に
いかがでしたか?看護診断におけるマニュアルについてまとめてみました。
実際これらのマニュアルを見てみると結構厚みがあるので、苦手に感じてしまう人もいるかもしれませんが、実際の看護業務の中では欠かせないものです。
NANDAなどのマニュアルを活用して看護問題をまとめられるよう、実習などの前から練習しておきたいですね。