看護のキホン!心電図の読み方とポイント
心電図を読み取ることは看護師にとって避けて通れない分野です。とはいえ苦手としている人も多いのではないでしょうか?
今回はモニター心電図の読み方の基礎中の基礎を紹介します。
1.正常心電図を理解しよう
不整脈などの心電図を理解するためには、正常心電図を理解することが近道です。まずは正常心電図をおさらいしてみましょう。
心臓の電気信号は洞結節で発生する電気刺激から始まり、房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維へと伝わっていきます。この電気刺激の流れを「刺激伝導系」と言います。
刺激伝導系と正常心電図の対応を示したものが下の図になります。
P波は心房の動きを表し、Q波は心室の興奮が始まる地点、R波は心室のもっとも収縮している地点、S波は心室の興奮の最終地点、T波はQRS波の後にくるなだらかな波で心室の興奮から冷める地点になります。
心臓の「とっくん」という音で言うと「とっ」の部分がP波、「くん」の部分がQRS波になります。
正常心電図は洞調律(サイナス、sinus rhythm:SR)と言われ、刺激伝導系の流れにそって心臓の収縮が規則的に繰り返されている状態です。
正常心電図のポイントは、
①PP間隔、RR間隔が一定である
②P波があり、それに続いてQRS波が出現する
③RR間隔が正常範囲の心拍数である
の3点になります。
P波の幅・高さ | 幅:0.06~0.10秒、高さ2.5mm以下 |
---|---|
PQ間隔 | 0.12~0.20秒 |
QRS波の幅 | 0.06~0.10秒 |
補正QT時間(QTc) | 0.36~0.44秒 ※T波の終わるところがRR間隔の半分を超えない |
RR間隔 | 除脈<60~100回/分<頻脈 |
2.不整脈の読み方
モニター心電図では最低限4つのポイントをおさえることで、整脈か不整脈を見分けることができます。
①RR間隔、PP間隔が一定か
②上向きのP波があるか
③QRS波の幅は正常か
④ST変化はないか(※ST変化を正しくとらえるには12誘導心電図が必要です)
この4つに当てはまれば整脈となります。
ただし、4つの条件に当てはまっても心拍が正常値から大きく逸脱した洞性頻脈・洞性除脈の場合もありますので注意してください。
3.これだけは知っておきたい危険な不整脈
①心室頻拍(VT)
VTは心室内のあらゆる部位から電気的興奮が繰り返し発生している状態です。
正常な心拍出量は保てず全身に循環する血液量が不足するため、失神発作やめまいを引き起こし、さらには意識消失から心停止を引き起こすことがあります。
RR間隔はほぼ一定ですがP波は見えないか見えにくく、QRS波は幅広となります。
VTは致死性の不整脈ですので、発見したら患者さんの状態をすぐに確認して、応援・救急カート・除細動器を準備しましょう。
http://www.jll.co.jp/patient_family/icd-2.html
②心室細動(VF)
VFは心室のあらゆるところから電気刺激が発生し、心電図上は頻拍を起こしているようにも見えます。
しかし、実際には心臓が細かく震えているような状態で、十分な循環血液量を保てず短時間のうちにショック状態となりえる大変危険な不整脈です。
P、Q、R、S、T波の鑑別ができず、基線ははっきりせずのこぎり歯状となります。VTと同様に緊急の対応が必要となります。
http://www.jll.co.jp/patient_family/icd-2.html
最後に
いかがでしたか?心電図を理解することは簡単なことではありません。
それでも正常心電図をしっかりと理解し、正常との違いに気づくことが異常を理解する第一歩となります。
まずは正常心電図を理解することから始めてみましょう。