看護問題と看護診断のポイントまとめ
患者さんの看護を考えるのにあたって欠かせないのが、看護計画の立案です。
そのためにはまず、患者さんの抱える問題をまとめ看護診断を下すということが必要になります。
医師とは違った視点でまとめる看護診断。どのような点に注意して作成するかなどをまとめてみました。
看護問題と看護診断
看護問題とは、看護師が患者さんについて情報収集し、分析し、看護師が介入することのできる健康問題を看護の視点で挙げたものです。
その健康問題に対して看護師がその知見と観察から判断し、まとめたものが看護診断です。
医師がする医学診断の場合、症状をまとめた結果病名などの診断を下し、それに対し薬物の使い方等の治療計画を立てます。
一方看護診断では、「自分で食事を摂れない」「歩行が困難で、転倒しやすい」などその患者さんが生活していくうえでどのような問題を抱えているかをまとめ、どのように対処していくかを計画していきます。
例 医学診断との比較
医学診断で、「安静時振戦、筋固縮、姿勢反射障害が見られる」などの問題から、パーキンソン病という診断を下され、薬物で治療することとなった患者さんがいたとします。
医師の判断は疾患の診断と治療方針の決定で、生活に関わることは看護師の領域になります。
看護問題としては「からだの動きにくさが強い」「ふらつくので一人で歩けない」「食事や排泄、更衣、入浴などに介助が必要」「診断を聞いても受け入れられていない」など、詳しい様子を列挙します。
それからこれらの問題点をまとめ、「非効果的否認」「摂食セルフケア不足」「入浴/清潔セルフケア不足」「転倒・転落リスク状態」などの看護診断を下します。
これらの看護診断をもとに、それぞれの問題に対して具体的な看護計画を立案していくことになります。
看護問題を挙げる際の注意
看護問題は、看護師が関与できることでなければなりません。
検査や患者さんからの聞き取りなどで情報を集めた後、看護問題を絞っていきますが、例えばご家族との関係については看護師が介在することはできません。
ご自身の体調のことと身近な心配事を一緒に話される患者さんもおられますが、看護問題を挙げる時には情報を整理する必要があります。
ただし、看護問題に挙げないからといって、不必要な情報だったというわけではありません。患者さんがどのようなことを感じておられるかということを理解し、共感しながら看護することは大切なことです。
また、他の看護問題に悪影響を及ぼす原因になっていないか考えながら、情報を分析する必要があります。
また、数日間の便秘で本人も辛くないというような軽微なものは看護問題からいったん外しますが、もしその後悪化したり他の問題と関わったりしているようなら再度提起します。
最後に
いかがでしたか?看護問題や看護診断についてまとめてみました。
患者さんに関する情報を収集・分析して看護問題を挙げ、看護診断を下すという最初の過程が、その後の看護計画に大きく関わってきます。
最初は苦手に感じる看護師が多いようですが、注意点や進め方をしっかり押さえて取り組みましょう。