難しそうで簡単なSOAPとPOSという看護記録のポイント
SOAPやPOSという言葉を聞いたことはあるでしょうか。何だか難しそうですが、看護記録を残すときにとても重要になる考え方です。ここでは、SOAPやPOSについてまとめてみました。
POS
POSとは、Problem Oriented Systemの略で、「問題志向型システム」と略されます。
患者さんの「問題点」に焦点を合わせて科学的・分析的に記録して、その問題を解決するために最善のケアを考えてそれを実行するというシステムのことです。
看護計画立案の流れも、このようなシステムに沿っています。看護をするうえでだけでなく、医療全体にとっても重要な概念です。
SOAP
SOAPとは、POSの考え方による記録法のことです。SはSubjective Dataの頭文字をとったもので、主観的情報のことです。
OはObjective Dataのことで、客観的情報を表します。Aはアセスメント(Assessment)、Pは計画(Plan)です。
主観的情報と客観的情報
主観的情報や客観的情報というと、どういうことでしょうか。患者さんを主にして考えるとわかりやすいかもしれません。
患者さん自身の認識や訴えが主観的情報で、観察から得られた情報や検査結果などの数値が客観的情報です。
例えば、患者さんから痛みの訴えがあれば、これはS(主観的情報)になります。
ペインスケールで「1から10のうち4」などと患者さんが記入したような場合も、患者さんが感じた痛みを数値という手段で表したものなのでSになります。数値だからO(客観的情報)となるわけではありません。
「苦悶様の顔貌」という情報についてはどうでしょうか。患者さん自身が「苦しい」と訴えたのならSですが、この場合「苦しそうだ」と判断したのは看護師なので、Oになります。
全ての情報がはっきりとどちらかに決まるわけではありませんが、Sを勝手にOと決めつけるようなことは避けたいですね。
例えば「お腹が張る」という患者さんの訴えを、勝手に「便秘」と判断するのは危険です。きちんとした見極めが大切になります。
アセスメントとは
アセスメントとは、看護においては、患者さんに関する情報を意図的に収集して、看護の視点でこれらを意味づけすることを表します。
記録をしていくうえでは、単に情報を羅列するだけではなく、自分の頭で解釈して考えて記録する必要があります。このように書くと難しいことのように思えるかもしれませんが、常に行っていることです。
例えばある患者さんについて、血圧が一昨日は140mmHg、昨日は130mmHg、今日は120mmHgという情報があれば、「血圧については下降傾向」と判断できますよね。
このようなアセスメントから、次にどのような看護をしたらいいかという計画につながります。
最後に
いかがでしたか?SOAPやPOSの考え方についてまとめてみました。アルファベットだけを並べるといかにも難しそうな言葉に見えますが、実は医療の現場で浸透している考え方で、複雑なものではありません。
これらの考え方に沿って情報を整理していくことで、患者さんの問題点を把握し、看護計画につなげていくことができます。しっかり理解して、看護記録に役立てていきたいですね。