術後の管理胸腔ドレナージの観察チェックポイント7選
胸腔ドレナージの管理は、苦手、嫌いな看護師さんが多い分野です。
看護師さんの声を聞くと、分かり難い、トラブルシューティングしにくい、合併症が怖い、というのが理由の多くです。
手術後の胸腔ドレナージ管理に絶対必要な観察ポイントを、まとめてみました。観察する順序もチェックしてみて下さいね。
1.確実に固定されていますか?抜けてませんか、ずれてませんか?
最初のチェック項目は、「固定」です。
胸腔ドレーンは、ドレーンの形状的に胸壁にループを作って固定することが出来ません。
他の部分に入っているカテーテルやドレーン類に比べて、抜けやすい特徴があります。引っ張る力で容易にずれます。
特に動ける患者さんの場合は、顕著です。
ドレーンの一部と皮膚にマーキングを行い、ずれが無いか時間ごとに確認しましょう。また、患者さんの移乗介助後は確認が必要です。
刺入部に引っ張る力がかかっても抜けないように、最低2か所は固定します。
ずれを発見した時は、患者さんの呼吸状態を確認した上で、すぐに報告しましょう。
2.接続外れていませんか、緩んでいませんか?
ドレーンと、パックの接続部位などは、外れると大変です。陰圧の胸腔内に大気が引き込まれ気胸を起こします。タイガンなどで引っ張っても外れないようにしておきましょう。
観察時は、接続の外れや緩みがないかザッとチェックしましょう。
3.排液の量をチェック、100ml/時間はすぐに報告を!
胸部手術の術後、1時間に100ml以上の流出は緊急性が高いと認識しましょう。特に濃い血性の場合は要注意です。バイタルサインを測定し、すぐに報告しましょう。
また、徐々に排液量が増えていないか、最低一時間ごとの観察が必要です。多量に貯留した胸腔内の血液や胸水を一気に体外に排出すると、ショックを起こします。
4・排液の性状をチェック、色調の変化に注意!
術直後は血性廃液です。
淡血性~淡々血性~淡黄血性~漿液性に変化していきます。排液の性状が、逆方向になっていないか注意しましょう。例えば淡血性が血性に変化してきた等は要注意です。
この「見た目の性状」は観察者の個人差が出やすいところです。病棟で、写真などを撮影しておいて基準を作成するのもよい方法かもしれません。
5・閉塞していませんか、本当に排液が減っただけですか?
血胸などで排液の粘度が高い場合や、浮遊物の混入が多い場合はドレーン閉塞の危険があります。排液が減ったと喜んでいたら、閉塞していただけという事が無いようにしましょう。
適時ミルキングを行い、閉塞予防を行いますが、ドレーンが抜けないように細心の注意が必要です。
6・呼吸性移動ありますか?
ドレーンが有効に作用しているかチェックします。呼吸性移動のチェックです。
ウォーターシールエリアの水面を見てください。患者さんの呼吸によって水面が若干上下しているのが見えると思います。これは、胸腔内とドレーンパックの内部が一体化し、密閉状態になっていることの証です。
7・指示された持続吸引圧、守れていますか?
指示された陰圧がかかっているかを確認しましょう。ダブルチェックし、間違いや誤差が無いか確認しましょう。
まとめ
胸腔ドレーンの管理は、しっかりとした固定と確認です。胸腔内からパックの密閉状態が確保できていることを確認し、排液の量と性状をチェックしましょう。胸腔ドレーンの苦手克服、一緒にがんばりましょう!