ペースメーカーのコードとよく使われる様式
ペースメーカーには徐脈となる原因に応じてペーシングのモードがあります。今回はそのコードと代表的な様式について紹介します。
1.ペースメーカーコード
ペースメーカーのコードには3文字のコードが使われています。第1文字目は刺激する部位、第2文字目は感知する部位、第3文字目は応答様式を示します。
文字 | 刺激部位 | 文字 | 感知部位 | 文字 | 応答様式 |
---|---|---|---|---|---|
A | 心房 | A | 心房 | I | 抑制 |
V | 心室 | V | 心室 | T | 同期 |
D | 心房・心室 | D | 心房・心室 | D | 抑制および同期 |
O | なし | O | なし |
2.抑制と同期
ペーシングの応答様式には抑制と同期があります。同期は自己波があるときはそれがトリガーとなり設定時間後にペーシングし、抑制は自己波があるときはペーシングをしません。
3.代表的なペーシングモード
①VVIペーシング
心室の抑制デマンドペーシングで、心室に1本リードが留置されます。自己の心室の刺激を感知した場合はペースメーカーの刺激発生が抑制されます。
また、自己の刺激が決められた一定基準以上あれば反応せず、決められた一定時間内に心臓からの電気刺激が感知されない場合はペースメーカーから電気刺激が伝えられ心臓を拍動させます。徐脈性心房細動に用いられます。
②VDDペーシング
1本のリードを使用しており先端は心室に電極が置かれ、途中に心房用の電極があります。心房リードは感知のみを行っています。
自己の心房の刺激をトリガーにし心房を刺激するとともに、心房の刺激を感知すると一定の時間差をおいた後に心室を刺激します。自己の心室の刺激があれば心室は刺激しません。房室ブロックに用いられます。
③DDDペーシング
あらゆる機能を有し、ユニバーサルペーシングと言われます。リードは2本使用し、心房と心室の両方に置かれます。
自己の心房・心室両方の刺激の有無を感知し、両方ある、片方しかない、両方ないそれぞれに合わせてペースメーカーの刺激が発生されます。心房の拍動が少ない時にも心房と心室の拍動を連動することができます。
心房の次に心室と収縮されるため、人の心臓の動きに最も生理的に近い働きをすることができます。洞不全症候群、房室ブロック、また両方の合併症に用いられます。
④DDIペーシング
決められた一定時間以内に自己の心房刺激を感知、もしくは心室の刺激を感知するとそれぞれが抑制されます。
心房心室を順次刺激し、自己の心室の刺激があれば心室のペースメーカーの刺激は抑制されるとともに、自己の心房の刺激があればペースメーカーによる心房の刺激も抑制されます。
最後に
いかがでしたか?人工ペースメーカーの設定様式は一見わかりにくいように思えますが、コードのアルファベットが示す、A(心房)、V(心室)、D(Dual、両方)をおさえれば理解しやすいと思います。
苦手意識を持たず一度目を通してみてくださいね!