読まずにわかるナイチンゲールの看護覚え書13のポイント
看護について学んでいる人でなくても、ナイチンゲールという名前は聞いたことがありますね。
ナイチンゲールの考え方は、現代の看護にも影響を及ぼしています。どのような人物で、どのような看護理論を提唱したのでしょうか。ナイチンゲールについてまとめてみました。
フローレンス・ナイチンゲール
フローレンス・ナイチンゲール(1820~1910)は、イギリスの看護師です。名家の出身で、当時の女性としては珍しく、高い教養を身につけていました。
しかし、病人の看護に使命感を抱き続けており、31歳の頃、当時は「不潔で不道徳で無知」とされていた看護の世界に身を投じます。
クリミア戦争(1853~1856)では、イギリス軍の野戦病院に赴き、科学的根拠に基づいた看護を実践しました。そのためイギリス軍の死亡率を激減させ、英雄になります。
統計学を用いて看護の成果を分析し、実践に生かしました。看護を初めて科学的にとらえた人物で、「近代看護の祖」と呼ばれています。
看護覚え書
『看護覚え書』(1860)は、ナイチンゲールの著書で、現在でも全世界での看護に影響を及ぼしています。
今となっては当然のように思われることも、当時のイギリスではままならないことでした。これを理論的にまとめたことが評価されています。13章で構成されています。少し長くなりますが、13章の内容を列記していきます。
①換気と暖房…空気を適切な温度に保ち、換気を十分にすることが大切です。
②住居の健康…きれいな空気や水、下水溝の整備や採光などに気を配ります。
③小管理…チームを組んで看護をしている場合、リーダーが他の看護師の言動にすべて責任を持ちます。
④物音…騒音や内緒話など、不必要な物音は患者さんに不安を与えます。
⑤変化…よい環境の変化が気分転換となり、回復につながります。
⑥食事…体調などに合わせて、食べられるようにする方法について注意を向ける必要性があります。
⑦食物…栄養バランスの良い食物を摂取することが大切です。
⑧ベッドと寝具類…こまめにシーツ交換をします。肌触りなど、患者さんに合った寝具であることも重要です。
⑨陽光…健康維持や回復のために、陽光は必要なものです。
⑩部屋と壁の清潔…こまめに掃除を行い、清潔を保ちます。ほこりを除くためには、濡れぞうきんで拭くことが効果的です。
⑪からだの清潔…からだを拭くと気持ちもすっきりして、回復につながります。
⑫おせっかいな励ましと忠告…よけいな話をして、却って不安を与えてはいけません。
⑬病人の観察…看護師に貸す授業で最も重要なものは観察です。表情や顔色、排泄物などを観察して患者さんの体調がわかるようにします。
このようなことに注意して環境を整え、患者さんの自己治癒力を高めることが大切であると説きました。今に通じる考え方ですよね。
最後に
ナイチンゲールという名前は有名ですが、戦場に自ら赴き多くのイギリス軍兵士を助け、看護に対する考え方を最初にまとめたという功績については、十分に知らない人も多かったのではないでしょうか。
看護とは何か、何のために看護をするのかという基本は、今看護を勉強している人も知っておくべきことです。機会があれば、ぜひ手に取ってみてください。