簡単!ドロセア・オレムの3つのカテゴリと5つの援助方法
歴史上、さまざまな看護師や看護理論家が、看護に関する考えをまとめてきました。その中には現在の看護に影響を与えているものもあります。
ドロセア・オレムのセルフケア理論もその一つです。ここではオレムのセルフケア理論について見ていきましょう。
<おすすめ記事セレクション>ドロセア・オレム
ドロセア・オレム(1914~2007)は、アメリカの看護師・看護理論家です。
1960年ごろ、合衆国保険教育福祉省の実務看護師訓練を向上させるプロジェクトに関わったことから、「看護の中心的問題とは何か」という問いを追究するようになり、看護論執筆につながっていきました。
1971年には『セルフケア概念』という論文を発表し、後世に影響を与えました。
オレムのセルフケア理論
オレムは、自分の身の回りや生活のこと、人生に関することなど、人が自分のことを自分で遂行することを、まとめて「セルフケア」と呼びました。
人は元来セルフケアを行う力を持っていますが、それができなくなった(=セルフケア不足)時に看護を必要とすると考えました。
セルフケア要件の3つのカテゴリー
セルフケア要件は、3つのカテゴリーに分けられます。
1つ目は、普遍的セルフケア要件です。食物の摂取や排泄、休息など、生理的で全ての人間に必要なものをさします。
2つ目は、発達的セルフケア要件です。発達することを助長し、それを阻害する諸条件から守り、正常な成長・発達を遂げるために悪影響を軽減するものです。
3つ目は、健康逸脱に対するセルフケア要件です。病気や怪我の治療に起因するものがこれにあたります。
これらの要件を患者さんが満たしているかどうかをチェックしていきます。不足している点は、看護師が補う方法を考えていきます。
5つの援助方法
患者さんのセルフケア不足に対して、看護師は患者さんのセルフケア能力も勘案して、適切な援助方法を選択します。オレムは、その際5つの援助方法が考えられるとして分類しています。
1つ目は、他者に代わって行動することです。患者さんが自分で行うのが難しいことは看護師が代わって行います。
2つ目は、導き示すことです。現在どのような状況で、今後どのようにセルフケアを行っていけばいいのかという方向性を示すことで、患者さんも安心できますね。
3つ目は、身体的・心理的サポートをすることです。不安を受け止めたり、励ましたりという心理的なサポートが大切です。
4つ目は、環境を提供し、維持することです。入院中はもちろんですが、退院してからも、同じ疾患をもつ患者さんのグループを紹介したり、健康相談を受けられるよう手配したりするなど、常に自分の疾患と向き合い改善を目指せるような環境作りをしていきます。
5つ目は、指導することです。患者さんの症状や合併症などについて、十分理解してもらえるよう説明します。糖尿病など、自分で注射する必要がある場合は、手技の指導などもこれにあたります。
看護師がサポートしていくだけでなく、患者さんにもセルフケアを満たすためにできる範囲で役割を果たしてもらうことが大切です。最終的には患者さん自身でセルフケアできるようになるような援助をしていきます。
このためにも、段階ごとに患者さんに現状を理解してもらい、改善のために何をしていくべきかという意識を共有することが大事になりますね。
最後に
いかがでしたか?ドロセア・オレムの看護理論についてまとめてみました。病気や怪我の際手助けするのはもちろんですが、その後患者さんが回復して退院した後に自分でケアをできるように指導や援助をするのも看護の中で大切な部分ですね。