看護師なら抑えるべきインフォームドコンセントとバターナリズム

看護師なら抑えるべきインフォームドコンセントとバターナリズム

インフォームド・コンセントという言葉は聞いたことがあるけれど、詳しい意味はわからないという人も多いのではないでしょうか。

これは現在の医療現場において、とても大切であるとされている考え方です。ここでは、インフォームド・コンセントのとはどのようなものか、どうやって広まっていったのかについてまとめてみました。

インフォームド・コンセントとは

直訳すると、「情報を受けたうえでの合意」というところでしょうか。医療行為を受ける患者さんが、投薬や手術などの内容について十分理解したうえで、自分の意志で決定し、医師や看護師と治療方針について合意するということを指します。説明を受けたうえで治療方針を拒否するということもインフォームド・コンセントに含まれます。

インフォームド・コンセントの歴史

インフォームド・コンセントという言葉を日本で聞くようになったのは最近のことのように思われますが、その歴史は古く、第二次世界大戦にまで遡ります。

戦中、ナチスドイツによってユダヤ人に対して非人道的な虐殺や人体実験が行われました。これを裁くため、1947年にニュルンベルク綱領が採択されました。

これは臨床試験など研究目的の医療行為を行うにあたって守るべき10項目の基本原則で、被験者の意志や自由を守るガイドラインです。人間を対象とする必然性があることや、不必要な苦痛や危険を与えないこと、被験者の自発的な同意を得ることなどが定められています。

その後1964年に、世界医師会総会でヘルシンキ宣言が採択されました。これは医学研究者が自らを規制するために定められた人体実験に対する倫理規範です。患者や被験者の福利の尊重、自発的な参加などが定められています。この中でインフォームド・コンセントの必要性も示され、その後1970年代にアメリカで広まっていきます。

日本では。1997年の医療法改正で、インフォームド・コンセントは医療従事者の努力義務であることが明確に示されました。その後も改正を経て、国や地方公共団体に対しても患者さんが医療機関についての情報を得やすいよう必要な措置を講じるよう求めています。

パターナリズムとは

パターナリズムとは、医療に関しては医師に決定権があるという考え方です。日本では長くこの考え方が支配的で、患者さんの中には今でも「先生にすべてお任せします」という方も多くおられます。ご年配の方に特に多いかもしれません。インフォームド・コンセントとは対立する考え方ですね。

このように言われる患者さんは、「説明を聞いてもわからないから任せるのがよい」と考えられている場合もあるので、患者さんそれぞれに合った説明をし、十分理解してもらえるよう医師や看護師が努力する必要があります。

最後に

いかがでしたか?インフォームド・コンセントの考え方や歴史についてまとめてみました。患者さんに十分な情報提供をしたうえで判断してもらうことは、トラブルを防ぐことにもつながります。そのためには自分自身が治療のメリットやデメリットをしっかり理解することが大切ですね。


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