看護師必見!進化した心臓ペース―カー治療(ICD、CRT)とは
循環器病院や、脳外科病院以外の看護師にも「ペースメーカー治療」を受けられた患者様と接する機会は多くなっていると思います。
「植え込みデバイス」と呼ばれる心臓ペースメーカーをはじめとする機械の種類は機能が多様化しています。
今回は、心疾患関連のペースメーカー治療についてお話ししたいと思います。
進化しているペースメーカー治療、その種類とは
もっとも普及率が高い植え込みデバイスは「心臓ペースメーカー」です。
心臓の刺激伝導系に障害があり脈が遅くなるタイプの不整脈、心房細動から正常洞調律への移行時に心停止を起こす不整脈、等の除脈の失神・心不全予防目的の治療です。
「植え込み型除細動器(ICD)」は、心室に植え込まれたリード(電線)が心室細動等の致死性不整脈(起こると死に直結する危険がある不整脈)を感知し、本体からの電気ショックを送り不整脈を停止させる治療です。
「両心室ペースメーカー(CRT)」は心室が収縮する動きのズレが心不全の原因となっている病気に対しての治療です。心臓の内腔と外側両方に電極を留置し、心筋を収縮する電気信号を送り、心室の動きを補正することによって心拍出量を保ちます。これは心室再同期療法とも呼ばれています。
「植え込み型除細動器」と「両心室ペースメーカー」両方の機能を併せ持った機械もあります。
ペースメーカー植え込みの適応は?
植え込む機械の種類や、原因となる病気の種類によって異なります。
「ペースメーカー植え込み」は、眼前暗黒感とよばれる目の前が暗くなるような感じや、失神発作が出現しホルター心電図(24時間長時間心電図)検査で除脈が分かって適応となる場合や、弁膜症などの心臓手術後や不整脈カテーテルアブレーション後に合併する除脈によって適応となる場合があります。
手術は、局所麻酔または短時間の静脈麻酔で行います。
植え込み型除細動器(ICD)の適応は?
致死性不整脈を起こし心肺蘇生された例や、遺伝性の強い致死性不整脈(ブルガダ症候群など)、致死性不整脈を起こす可能性のある疾患(QT延長症候群など)の場合が適応となります。
心筋梗塞を起こし、心筋壊死が刺激伝導系を傷害し、致死性不整脈を起こす場合もあります。手術は通常、全身麻酔で行われます。
両心室ペースメーカー(CRT)の適応は?
室が収縮する動きのズレが原因となっておこる心不全が適応例です。心筋症や陳旧性心筋梗塞が原因となっている場合が多くみられます。
心臓超音波検査、心電図、心臓カテーテルによる心機能の検査などで適応が判定されます。手術は通常、全身麻酔で行われます。
ペースメーカーはMRIが撮れない、はもう古い
デバイス植え込み治療後の患者様は「MRI禁止」は常識でした。MRIの強い磁場にさらされることで、本体の故障、設定の狂いが生じる危険性があるためです。
しかし、近年普通の心臓ペースメーカーのうち、「MRI対応ペースメーカー」が普及してきています。
ペースメーカー本体と、心臓につながるリード(電線)の両方がMRI対応商品でなければなりませんが、新たに植え込み治療を受ける患者様には朗報です。
MRIは整形外科、脳血管疾患などの診断に有効な画像診断ですので、ペースメーカー治療を受けていても撮影可能なことは、ありがたいですね。
ただし、ICD・CRTはMRI禁忌であることには変わりなく、普通のペースメーカーもMRI対応不可の機種が圧倒的に多いので注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?
心疾患のデバイス植え込み治療は日々進歩しています。医療従事者もなかなか理解しにくい不整脈や、心不全の病態とデバイス植え込み治療です。患者様やご家族にはさらに噛み砕いた説明が必要になってきます。
この記事を読んで、ペースメーカー等のデバイス植え込み治療に興味を持っていただけたら嬉しいです。