気道内圧ってなに?人工呼吸器を扱う看護師が抑えるべきポイント
いつになったら人工呼吸器の患者さんを受け持たせてもらえるのかな?受け持ちは不安。という不安は看護師の多くが通る道です。
人工呼吸器の構造、機能、そして患者さんの看護、ケアの方法、たくさん勉強することがあってどこから手を付けたらいいかわからない!人工呼吸器について勉強しても、どうやって看護や観察項目に結びつけたらいいかわからない!という新人看護師さん。
人工呼吸器看護アレルギーの看護師さんへ「分かった!」をお届けしたい記事です。
人工呼吸器看護を理解すること=人体の構造を理解すること
ズバリ、タイトルの通りです。
人工呼吸器が何か?という質問に一言で答えると「呼吸を肩代わりする」です。つまり、人間の肺や呼吸の働きをしっかり理解すれば、自然と人工呼吸器について分かってきます。
機械の事を一生懸命に分かろうとするよりは、効率的かつ正しい勉強方法です。
最高気道内圧ってなに? 自然の呼吸では発生しない圧力です
最高気道内圧とは、最も高い気道内圧のことを意味します。人工呼吸器のセンサーが、空気の通り道である気道にかかる圧力を、感知しモニター表示されます。
呼吸の時に気道にプラス圧力がかかるのは実は異常なことなのです。
自然の呼吸では、呼吸筋を使って肋間を広げ、肺を拡張し、空気を「吸い込んで」います。そのため、気道や肺などは「陰圧」です。
人工呼吸器の換気は、空気を「送り込む」ことで肺を膨らませる「陽圧」換気です。まずはこの違いをしっかりと認識しましょう。
人工呼吸器使用中の「最高気道内圧」は、「空気を送り込むため必要とした力」と言い換えることが出来ます。
急激な変化は要注意!気道内圧の変化からわかること
気道内圧が高圧になればどうなるのでしょうか?
それは、肺や気道の損傷です。圧外傷とよばれる人工呼吸器の合併症です。気道内圧が、40㎝H2Oを超えると合併症がおこりやすくなります。
気道内圧の観察は「変化」が重要です。急に高くなる、低くなるその変化に気が付くことからアセスメントが始まります。
気道内圧が高くなる原因、3つに分類し整理してみましょう
その1 人工呼吸器に原因がある
人工呼吸で設定した一回に吹き込む空気の量(一回換気量)が多すぎること。空気を吹き込むスピード(呼気流速)が急激すぎる。など、人工呼吸器の設定に問題がある場合です。人工呼吸器の設定を変更することで解決します。
その2 患者さんの肺や、気管に原因がある
カチカチの風船や、長細い物を膨らませるには、強い圧力が必要です。その原理を思い出していただければ良くわかります。
炎症等で肺が硬くなっている。肺や気道に痰が貯留し換気の障害となっている。何らかの原因で気管が狭窄している。等の原因が考えられます。
その3 患者さんの呼吸と人工呼吸器設定の不一致が原因
自発呼吸が全くない患者さんには起こりません。
自発呼吸があり、自分で息を吸うタイミングに、人工呼吸器の吹き込みが重なり、気道内圧が異常に上昇する状態をファイティング(finghting)と言います。
自発呼吸を感知すれば、補助換気を中断するような人工呼吸器設定が必要になります。
痰の貯留等の原因で、咳嗽反射が起き気道内圧が急激に上昇する状態をバッキンク(bucking)と言います。痰の吸引操作を愛護的に行って、なるべく咳嗽反射を起こさせない事が大切です。
まとめ
いかがでしたか?
人間の肺や呼吸の働きをしっかり理解すれば、自然と人工呼吸器について分かってきますので、じっくり一つずつ一緒に勉強していきましょう!