NPPVを使った患者の看護観察のポイント

NPPVを使った患者の看護観察のポイント

非侵襲的陽圧換気療法NPPV(Non invasive Positive Pressure Ventilation)は、気管切開や気管挿管を行うことなく、人工呼吸管理ができることで今注目をされている治療法です。

今後はNPPVを扱う症例も増えてくることが予想されます。今回は、そんなNPPVの看護のポイントをご紹介します。

1.モニタの確認

NPPV導入後は、NPPVモニタ画面に表示される実測値に変化や異常がないか確認します。

特に注意して観察する項目は以下の通りになります。
 

項目 略語 備考
1回換気量 VT 500ml前後が目安
分時換気量 VE 呼吸回数×1回換気量
リーク量 Pt.LEAK 10~30ml/分を目安に設定
呼吸回数 Rate ― 

2.本体・回路周辺の確認

本体・回路周辺に異常がないか定期的に確認します。

項目 留意事項
回路周辺 破損・折れ曲がりはないか
接続部のゆるみ・破損はないか
モード・機器設定は合っているか
緊急時の物品の有無 ジャクソンリース/バッグバルブマスク
酸素流量計
Y字管
挿管セット一式
非常用電源の確保
バクテリアフィルター 汚染の有無。交換の目安は一週間
加温加湿器の設定 電源が入っているか
チャンバーの水の有無
加湿温度は適切か
ウォータートラップ 結露水を定期的に除去する
水受け皿がはずれていないか
トラップは患者とNPPVの高さより低くなっているか

2.患者さんの状態

導入時にはできるだけ低い圧から開始し、患者さんのマスクおよびNPPVの受け入れ状況を確認しながら徐々に圧をあげていくことが理想です。

バイタルサイン、意識状態、SpO2、NPPVとの同調性、血液ガスデータなどに加えて以下の項目を観察します。

①呼吸状態

呼吸回数、呼吸のリズム、呼吸音(副雑音、左右差)、胸郭の動き、努力呼吸の有無、呼吸困難感(修正ボルグスケール等を使用)、気道分泌物の量・喀痰状況、自発呼吸

②循環動態

頻脈の有無、血圧変動(陽気換気を行っていることで静脈血が心臓に戻りにくくなり心拍出量が低下する、胸腔内圧の上昇により心臓が圧迫され心拡張が障害される)

③意識レベル

JCS、GCSによる評価、せん妄・不穏症状

④消化器症状

腹部膨満感、腸蠕動音

3.合併症の有無

NPPVの合併症として一番頻度が高いものがマスクに伴う皮膚トラブルです。マスクの不快感が強い場合、トラブルが生じた場合は固定方法、サイズ、種類を再検討しましょう。

また、重篤な合併症として誤嚥性肺炎、低血圧、気胸などが挙げられ、異変に早く気づくことが求められます。

起こりうる合併症

こんな合併症に気をつけましょう。

  • マスクの不快感、顔面の皮膚の紅斑、マスクの当たっている部分の潰瘍の有無、その他皮膚トラブル
  • 鼻粘膜の浮腫、副鼻腔・耳の痛み、口腔内、眼の乾燥
  • 誤嚥性肺炎
  • 気胸(陽圧換気による圧損傷により起こる。縦隔気腫、皮下気腫の可能性もある)
  • 低血圧

最後に

いかがでしたか?NPPVを効果的に使うには患者さんの協力が不可欠です。そのためにはマスク装着による不快感、トラブルをいかに軽減するかも大切なポイントです。

また、緊急時に備えて気管挿管の準備と患者さんや家族の希望も確認しておきましょう。


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