車イス移乗訓練の方法とポイント
術後の不安を抱えながらの生活は患者さんにとって大変です。怪我や手術の程度にもよりますが長い間の車いす生活を余儀なくされる場合もあります。その際に車イスの移乗をしないとベッドからの乗り降りやトイレへの移動、入浴での移乗など病院生活を送るに至ってもなかなか不憫な思いをしてしまいます。
そこで、ここでは車イスの移乗訓練の方法や注意点、ポイントなどをご紹介します。
車イス移乗訓練の方法とは
まず、患者さんの疾患がどのような状態なのか、術式は何なのか、訓練の指導内容が合っているかどうかを医師との相談の上確認していきます。
確認したら、患者さんのバランス感覚や筋力、個性など理解し正確な指導を行いましょう!患者さんにとって車イスが使える事はベッド生活から活動範囲が広がる援助をしましょう。
ベッドから車イスまでの移乗(患肢の免荷指示がある場合とは)
1.車イスを確認しましょう
車イスを患者さんが使用するに当たり、タイヤの空気圧、シートの破けなど無いか、車輪が正常に回転するかどうか確認しましょう。
2.車イスから移乗しやすいようにベッド周辺の環境を整えましょう
車イスからベッドに移乗するに当たって、患者さんが移乗する際に適度なスペースと移動しやすい高さがひつようになります。
ベッド周辺のヘッドストッパーやコードなど移乗の際に邪魔になる物を整理し適度なスペースを確保しましょう。又、その時に車イスからベッドに移乗し易いように車イスの高さとベッドの高さを患者さんに無理のない高さにベッドを調節するのも大切な援助です。
3.患者さんがベッドから車イスに乗る為の注意点!
ベッドから車イスに移乗させるに当たり幾つかの確認しなければならない事や注意点などが必要となってきます。
患者さんが車イスに乗るに当たり、乗れる状態であるのかどうなのか、急に起き上がり立ちくらみなどの原因でもある起立性低血圧になって無いかどうかギャッチアップもしくは端座位になり健康状態の確認が必要になります。又、車イスに乗っても滑らない服装なのかどうなのかも注意して見ましょう。
乗れる状態になったら車イスをベッドに対して20度~30度の角度で健側におき、フットレストをあげ患者さんには健側の靴は履くように指導しましょう。患者さんが立位になる際、必要に応じて腰を支えたり、肩で支えるなどの介護を行い安定した無理のない車イスへの着座に勤めましょう。
健側の手で奥のアームレストをつかみながら、回旋し車イスの方へ患者さんの背を向けながら、患側の手でアームレストをつかみ、ゆっくりと着座します。その際は患側も稼働したりしますので、決して無理のない移乗を心がけましょう。着座までしたら最後に健側の足でフットレストを下げ、足をのせて完了です。
車イスからベッドへの移乗(患肢の免荷指示がある場合とは)
車イスからベッドに移乗する際、車イスの停車位置を健側から足側1/3の所にブレーキをかけ確実に停車します。
次に、フットレストを上げ健側から床に下ろし荷重をかけて行きます。健側の手でベッドの柵や安定して支えられる物で支え患側の手でアームレストを掴みながら患者さんに負担がかからないように徐々に荷重移動していきます。
立位になったら、患側の手(アームレスト側)から外していき健側の手でベッドの柵をにぎったままゆっくり回旋し、ベッドに戻ります。着座するに当たり、無理のない姿勢や体勢をしないよう心がけ介護が必要な時には腰や肩で支えながら着座してもらいましよう。
ベッドに横になったら移乗は完了となりますが、患者さんにとってすごいし易い環境にベッド周りを整えて完了になります。
車イスの移乗訓練で見る観察項目とは
ここでは、車イスの移乗訓練で見て行くポイントを幾つかご紹介します。
病状の違いや術式の違いまたはカテーテルやラインがある場合は注意して移乗もしなければなりません。障害の部位がどのように変化していったかその程度はどうなのか?など日々の状態は変化していきますので、その変化を確認しましょう。
筋力の変化はどうなのか?付いているのか低下しているのか?又は、荷重移動が無理なく出来、何かにつかまったまま立位状態を保持し、バランスがとれ安定しているかどうなのかを確認します。又、車イスの移乗の前に無理しすぎない運動と安静に出来ているかどうなのか観察し安静度はどうなのか?の確認をしましょう。
まとめ
入院患者や自宅療養されている車イスが必要な患者さん全てに該当する車イス移乗訓練、術式や障害の部位などで多く違いがありますが、基本的には筋肉がどのように付いて行ったか、バランス感覚があるのか無いのかで大きく変わります。
車イスに対してのリスクを理解した中で乗車するのとしないのでは大きく乗車に対して環境は違います。車イスに対しての理解が無ければ危険性も発生しますので必ず介護出来る人間が必要となります。
その患者さんに合った指導方法で個性を理解し、信頼関係を築いていく事が課題になります。患者さんの状態に応じ車イスの原理原則を充分に理解した中で医師との相談の上介護指導していく事が車イス移乗訓練に重要な課題になります。