患者さんの負担を減らす良肢位と安楽な体位とは
患者さんが休んでいる時の体位を整えることは、看護師の重要な仕事の一つです。
患者さんの状態によって、楽な体位が違います。体位を決めるのに重要な要素である「良肢位」についてもチェックしておきましょう。
良肢位とは?
良肢位とは、拘縮(関節の周囲の組織や筋肉が堅くなって関節が動かせなくなった状態)が起こる可能性がある場合や麻痺がある場合に日常生活への支障を最小限に抑えられる角度を保つ肢位をいいます。
例えば、腕をまっすぐに伸ばした状態で固まってしまって自分で動かせなくなったら、何をするにも不便ですし、介助をする人も大変です。
そこで、できるだけ日常生活に支障がない角度に整えておくことで、そのリスクを抑えます。
基本肢位と部位ごとの良肢位
手のひらを前に向け、静止直立した状態を「基本肢位」と呼びます。この状態の各関節の角度を0度として、良肢位の角度を確認していきましょう。
- 肩関節…外転10~30度 屈曲外旋 肘を曲げた時に顔に手が届く角度
- 肘関節…屈曲90度
- 前腕…回内・回外中間位
- 手関節…背屈10~20度
- 股関節…屈曲10~30度 外転0~10度 外旋0~10度
- 膝関節…屈曲10度
- 足関節…背屈・底屈0度
同時に、基本的な動作も覚えておきたいですね。
- 屈曲、伸展…肘や膝などの関節の曲げ伸ばし
- 外転、内転…腕をまっすぐ下に伸ばした状態で横から上に揚げるのが外転
- 外旋、内旋…腕をまっすぐ前に伸ばした状態から横に開くのが外旋、閉じるのが内旋
- 背屈、底屈…足をまっすぐから反らすのが背屈、伸ばすのが底屈
- 回内、回外…手の平をまっすぐ立てた状態から外側に倒すのが回外、内側に倒すのが回内
このような各関節の良肢位を頭に入れたうえで、患者さんの体位を整えます。
入院中の方など、枕をいくつも使って休んでいる患者さんを見たことはあるでしょうか。
体がベッドに接している面積が狭いほど、接している一部の負担が大きくなるので、枕を使ってベッドとの空間を埋めると、ベッドと接している面積を広くするのと同じ効果があります。
枕を挟むことで体圧が分散し、患者さんの体にかかる負担が小さくなります。また褥瘡などのトラブルを防ぐ効果もあります。
このように体位を整えますが、いくら楽な体位でも、ずっと同じ状態でいると辛いですよね。
自分で体を動かせない患者さんの場合特に、状態に合わせて体位を変換するよう、常に注意しておきたいですね。
最後に
いかがでしたか?良肢位についてまとめてみました。
関節拘縮が生じないように、自動的・他動的に関節を動かすことはもちろん重要ですが、もし関節が動きにくい状態になっても日常生活でなるべく不便にならないように、良肢位を意識しながら安静位を取ってもらうことはとても重要なことです。
用語や数字だけではわかりにくいので、自分で動かしてみたり、図を書いてみたり、安静位の患者さんを実際に見てイメージしながら頭に入れておきたいですね。