リハビリに必須!杖歩行の流れと退院までのサポートをまとめました
患者さんが回復し、退院のための訓練を始めると、看護師も嬉しくなりますね。
杖を使った歩行の練習も、そのような訓練の一つです。簡単そうに見えても、体を動かしにくい患者さんにとっては練習が必要な杖歩行。サポートのポイントや流れをまとめてみました。
杖は何のためのもの?
杖は、患側の機能を補うためではなく、支持基底面を広くするためのものです。支持基底面とは、床についた体の部分を結んだ面積です。
立っている時、足を閉じているより肩幅程度に開いている方が安定しますよね。両足に杖を加えた三点で体を支えることで、より体を安定させることができます。
杖歩行のポイント
まず、杖は健側で持つことが原則です。例えば右半身が麻痺している場合、右手ではうまく持てませんね。自由に動かせる左手で扱います。
踏み出す時は、まず①杖を前に出して、②患側の足を前に出して、③健側の足を出すという順番だと歩きやすいです。これを、三動作歩行と呼びます。
これに対し、杖と患側の足を同時に出す二動作歩行だと、比較的早く歩けますが、支持基底面が狭くなるので安定しにくくなります。軽症の患者さんに適しています。
杖の長さも重要です。足先の前方20cmに杖の先をついた状態で肘が30~40度曲がる程度が良く、およそ身長の半分+2~3cmが目安とされています。患者さんの体格に合わせて調整したいものですね。
階段歩行の場合
平らな所だと杖歩行できる患者さんでも、階段となると少し心配ですよね。看護師も十分注意が必要です。階段歩行の時は、安定のため、原則三動作歩行を用います。
まず、右辺麻痺の患者さんが階段を上がる場合の流れを考えてみます。患者さんの患側(右)で、1段下に立って、患者さんに杖を階段の一段上についてもらいます。
看護師のこの立ち位置は、万が一の時に患者さんを支えられるようにということです。
次に、健側(左)の足で一段上ってもらいます。そして、杖をしっかり握ってもらって、健側(左)に体重をかけながら患側(右)の足を一段上ってもらいます。
次に、階段を下りる場合の流れです。この時も、まず杖を1段下についてもらいます。
次に健側(左)の足に体重をかけながら患側(右)の足で1段下りて、最後に健側(左)の足で1段下りてもらいます。
階段を下りる時も、やはり患側の前方の一段下のところでサポートをします。不安定になりやすい患側に立って介助して、患側の足に体重がかからないようにします。
最後に
いかがでしたか?杖歩行のポイントについてまとめてみました。
杖歩行の練習は、思うように体が動かせない患者さんにとっては、慣れるまではとても大変なものです。
少しの距離や段でも時間がかかり、諦めたくなる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、次第に上手に歩けるようになると、入院中は気分転換にもなりますし、退院後の生活も向上するはずです。看護師が声をかけ励まして、習得をサポートしてあげたいですね。