減感作療法やインスリンに使える皮下注射のことをまとめました
一般的な予防注射などでおなじみの皮下注射。筋肉内注射と作用は似ていますが、共通する部分と違う部分があります。
ここでは、皮下注射の目的や手順、場所の選び方などをまとめました。
【皮下注射とは】
皮下注射は減感作療法等の他、BCGとHPVワクチン以外の予防接種、ビタミン剤、インスリンや成長ホルモンなどのペプチド性ホルモン剤、インターフェロン等の投与時など、幅広く用いられます。
皮下注射と筋肉内注射は作用が共通していますが、刺入角度が違っています。筋肉内注射が45度~直角に刺して筋肉に届かせるのに対して、皮下注射では10~30度という浅い角度に刺し、皮下組織に薬液を注入します。
皮下は筋肉内よりも血管が少ないため、皮下注射は筋肉内注射の2倍効くまでの時間がかかり、その分持続時間も長くなります。
よく用いられるのは、糖尿病の患者さんのインスリン注射です。自己注射をされる場合は、専用のインスリンキットを用います。患者さんが安全に皮下注射できるようにあらかじめインスリン製剤がセットされています。
24~27Gの、細い針が用いられます。注射の方法や目的で針を使い分けることも覚えておきたいですね。
皮下注射の手順
皮下注射では皮下組織とともに皮膚をつまみあげてから、浅い所に入るように角度をつけて、神秘と筋肉の間に薬液を入れるようにします。
針を刺す深さは、注射針の2/3までとします。皮下組織の薄い小児や高齢者では深く刺し過ぎないように注意しましょう。
穿刺したら、注射器を一度吸引して、血液の逆流やしびれがないかを確認してから薬液を注入しましょう。
もし逆流やしびれがあれば、逆流のない部位に注入するか、別の部位に穿刺します。事故防止のため、必ず吸引確認するようにしましょう。
注射が終わった後はもまないようにします。皮下注射はゆっくり効かせるためのものなので、マッサージをすると吸収が促進されて効きすぎてしまします。
例えばインスリンの皮下注射の後にマッサージをしてしまうと、低血糖などのトラブルの原因になります。一方筋肉内注射は硬結を防ぐためマッサージする必要がありましたね。この違いも覚えておきましょう。
皮下注射を行う部位
神経や血管が少なく、皮下組織の厚い部分なら、全身どこでも皮下注射を行うことができます。一般的には、肩や内腿、腹部、背中、殿部、二の腕の肩峰と肘頭を結んだ1/3のところなどが選ばれます。
同じ部位に繰り返して行うと、薬の吸収が悪くなって効果を十分に発揮しなかったり、皮膚が炎症を起こしたりする危険もあるため、部位を変えて行うようにしましょう。
最後に
いかがでしたか?皮下注射についてまとめてみました。
予防接種などで見かけることも多く、簡単そうに見えるかもしれませんが、注射時に神経や血管を傷つけないように、また注射後にもまないようになど、注意しておかないと事故につながるようなポイントもあります。
しっかり確認して、事故やトラブルの内容にしたいですね。ご参考になれば幸いです。