点滴ラインを外してしまう原因と対策を教えます
多くの入院患者さんが受けている点滴。薬だったり栄養剤だったり、患者さんごとに違いますが、いずれも治療のために必要な処置です。
しかし、患者さんの中には、点滴のラインを外してしまう方もいます。認知症などで、説明してもわからなくなってしまっている方もいるようですね。
繰り返しラインを抜く方だと、看護師も困ってしまうかもしれません。必要な点滴を十分受けてもらうことは患者さんの治療や回復のために大切です。
患者さんが勝手に針を抜いてしまうことで、傷が付いたり内出血したりというトラブルにも繋がりかねません。
ラインを外してしまう原因と、ラインが気にならない工夫についてまとめてみました。
どうして外してしまうの?
ラインが視界に入って、気になって抜いてしまうということがまず考えられます。それから、テープがかゆくて不快に感じて抜いてしまうこともあります。
刺入部やその周辺が発赤、腫脹したり、痛みを訴えたりしている場合は、静脈炎や薬剤の血管外への漏出の恐れがあります。
薬によっては、漏出することで危険が伴う場合もあります。例えば起壊死性の抗がん剤やドパミンやカテコールアミンなら、漏出によって細胞が壊死する可能性もあります。
異常を発見したらすぐ中止して、直ちに主治医に報告する必要があります。
ラインを外すということは、うまく違和感や不快感を伝えられない患者さんからのサインである場合があります。患者さんの様子をしっかり観察し、そのサインをキャッチしようと努力することが大切です。
対策
まず、視界に入って気になって抜いてしまうという場合は、点滴部位は上腕などの見える部分を避ける、気にならないようにラインを服の中から通して首元から背部へ出す、ラインや刺入部が見える部分は露出しないように包帯や服の袖で覆うなどの対策が有効です。
隠すことで気にならなくなり、抜かないようになる方も多いようです。ただし、患者さんから見えないということは、医療者にとっても観察がしにくいということです。
薬液の血管外漏出や、包帯による循環障害がないかなど、観察に努めましょう。
テープを貼っている部分がかゆくて抜いてしまう場合は、必要に応じてテープを貼り換えたり、テープの種類を変更したりして、不快感を減らすようにしましょう。
点滴の針を刺す場所を変えることも、かぶれ防止に有効です。
最後に
いかがでしたか?患者さんが点滴のラインを外してしまう場合の、原因や対策についてまとめてみました。
患者さんがラインを外してしまうというのは、一見困った行動のように思えますが、患者さんからの重要なサインである可能性もあります。
特に静脈炎や薬剤の漏出の場合、重大なトラブルにつながる可能性もあるので、早急に対処する必要があります。
よく観察したり聞き取りをしたりして、違和感や不快感、異常があれば、すぐに対応できるようにしましょう。