看護婦って呼んだら差別なの?看護師になった背景とは
病院に勤めていると、高齢者の方は「看護婦さん」と呼ぶ方が多い気がしますが、看護師という言い方もかなり定着してきたという感があります。
そもそも看護師というのはいつ頃から言われるようになったのでしょうか。
1.名称の統一
以前は、男性看護師は「保健婦助産婦看護婦法」により「看護士」と呼ばれ女性の看護婦とは区別をされていました。
2001年に「保健婦助産婦看護婦法」が「保健師助産師看護師法」(以下、保助看法)という名称に変わったことで、2002年3月から男女ともに「看護師」という名称に変更になりました。
この背景には男女雇用機会均等法から流れを受けた職業における男女平等という考え方があります。
旧保助看法には助産師(当時は助産婦)を女子に限るという旨の表記があったり、専門職にもかかわらず「女性の仕事」と限定されて表記されていました。
保助看法が制定された当初は、看護職は女性の仕事であったため違和感はなかったのだろうと推測されます。
2.実際には?
実際にはナースは看護婦と呼ばれようが、看護師と呼ばれようが気にしていない人がほとんどだと思います。
私は高齢の方と話すときは、あえて馴染みのいい「看護婦」と言うときもあります。ナースマンたちはやっぱり自分たちのことは「看護師」と言っています。
「婦」ではないので当たり前ですが。高齢の患者さんにはナースマンのことを「男の看護婦さん」と言う人もいますが、本人たちは何も気にしていないようです。
3.専門職としての誇り
聖路加国際病院名誉院長日野原重明氏は看護師の名称変更について次のようにコメントされています。
(引用:http://www5f.biglobe.ne.jp/iyatsue/kangosi.htm)
日本でも男子の看護職が増えてきたこともあり、従来の「看護婦」と「看護士」のように性別で表現することを廃止し、同時に医療における看護職の重要性から、医師、歯科医師、薬剤師と同列に、「師」を末尾につけて看護師と称して、その職務の重要さを示すことが決定された。
かつては、看護職は女子に最適の職業と世間からみなされ、看護婦の名称が選ばれた。
しかし、戦前にも精神病院では、暴力を示す患者の看護には男性の手がいるとのことで、男性が「看護夫」ともよばれて採用されていたことがある。
今後、看護職の社会的レベルが高くなることで、看護師の実力も名称にふさわしくレベルアップすることが要望されるわけである。看護職が医師などと名称上同格となるならば、看護職は臨床の実力においても医師と同格であるパートナーとして働くことが求められる。
女性で医師になった人は皆、終生医師として生き、職業の場から降りることは米国でも日本でも例外的な場合にしかみられない。
一方、看護職は、終身看護職を貫くという強い内的努力は必ずしも医師に及ばないように思う。
たとえ臨床看護の前線にいなくとも、看護職として、プライドではなく、dignity(尊厳)をもって、生涯、看護職であることをミッションと考えて完走してほしい。
最後に
いかがでしたか?日野原先生のコメントにはぐっときました。私たちは看護婦と呼ばれようが看護師と呼ばれようが気にしませんが、専門職に相応しい知識・技術・ふるまいを身につけたいものですね。